【日本版DBS】いとま特例を適用できる「やむを得ない事情」を徹底解説:新規採用から組織再編まで、適用が認められる10の具体的事由

日本版DBS制度の概要を象徴する抽象イメージ(法律書と議事堂のイラスト) FAQ

原則と特例の境界線

こども性暴力防止法における犯罪事実確認の原則は、従事者が業務に従事する前に確認を完了することです。しかし、実務上は短期間での人員確保や組織変更などの事情により、従事開始までに確認が間に合わない場合があります。
このような場合に適用されるのが「いとま特例」です。いとま特例では、原則3か月(最長6か月)以内で業務開始後に犯罪事実確認を完了することが認められます。

特例の適用には「急な欠員その他のやむを得ない事情」が必要であり、その事情は内閣府令等で具体的に定められています。本記事では、学校設置者等や認定事業者等に共通する事由を含め、「やむを得ない事情」の具体例を分類ごとに解説します。


1. 「やむを得ない事情」の共通原則:事業者の責めに帰さないこと

いとま特例は、あくまで事業者の責めに帰すことのできない事情に限定されます。
そのため、従事開始日までに確認期間を確保できなかった理由が事業者の責任でないことを前提とします。

特例適用時には、以下の点に注意が必要です。

  • 「やむを得ない事情」に該当することを証する書類等を保存する義務がある。
  • 監督や審査の際に、事業者はこれらの資料を提示できるよう管理する必要がある。

2. 人事・契約に関する分類(原則3か月期限)

この分類は、通常業務の中で突発的に発生する事情や行政手続きの制約によるものです。

新規採用

  • 学級数の変動や予見不可能な欠員により、短期間で職員を採用し業務に従事させる必要がある場合。

異動(事業者間)

  • 教育委員会と国立大学法人など、異なる事業者間での人事交流に伴う犯罪事実確認。
  • 国や自治体の予算編成上の制約により、内示が従事開始直前となる場合。

異動(同一事業者内)

  • 対象外業務から対象業務への異動。
  • 予算編成上の制約等で内示が従事開始直前となる場合。

事業者間契約

  • 労働者派遣契約や請負契約等の締結が遅れ、従事開始が直前となる場合。
  • 遅延が事業者の責めに帰すことのできない事情によるものであることが前提。

3. 組織変更・外部要因に関する分類(原則6か月期限)

組織変更や外部要因による事由は、事業継続に著しい支障を来すリスクが高く、確認期限は最長6か月に延長されます。

組織変更(合併・承継)

  • 新設合併、吸収合併、事業譲渡などにより、新たに学校設置者等や認定事業者等となる場合。
  • 短期間で職員を従事させる必要がある場合。

事業の新設

  • 学校や児童福祉事業の新設に伴い、許認可等の手続が遅れ、運営開始までの期間が不足する場合。
  • 遅延が事業者の責めに帰さない事情によることが前提。

4. 行政側の交付遅延による特例(6か月期限)

事業者側の事情ではなく、行政側の事務処理の遅延により、特例適用が必要になる場合があります。

  • 交付申請の遅延:事業者が従事開始までに十分余裕をもって犯罪事実確認書の交付を申請したにもかかわらず、国からの交付が間に合わない場合。
  • この場合、上記「原則3か月期限」の事由(新規採用、異動、契約)も6か月以内に延長可能。

5. 実務上の留意点と防止措置

いとま特例適用中は、犯罪事実確認が完了するまでの間、従事者は特定性犯罪該当者とみなして必要な措置を講じます。

必要な措置の例

  • 原則として児童等と一対一にさせない。
  • 管理職による定期的な巡回・声掛け。

例外的な一対一対応

  • スクールカウンセラーとの面談など、やむを得ず一対一になる場合。
  • 事前に管理職等に時間・場所・対象児童等を通知し、事後に完了報告を行う。

記録保存の徹底

  • 特例を適用した際は、その「やむを得ない事情」に該当することを証する書類等を適切に保存・管理する義務があります。

以上の整理により、いとま特例の適用可否や期限、実務上の対応を明確に把握できます。新規採用や異動、組織再編など、実務で発生しやすいケースに対応するための重要な指針となります。

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