犯歴情報の秘匿性が制度の信頼を支えます
こども性暴力防止法(日本版DBS)が対象事業者に義務付ける情報管理措置の中でも、犯罪事実確認記録等(確認書及びその情報に係る記録)は極めて機微性の高い個人情報です。そのため、目的外利用・第三者提供は原則として禁止されています。
この禁止規定(法第12条、法第27条第2項等)は、個人の権利利益に重大な被害を及ぼすおそれを防ぎ、制度に対する国民の信頼を確保するために設けられています。
本記事では、事業者が日常業務や委託契約において遭遇しやすい、第三者提供が禁止される代表例と、違反しないための実務上の対応策を解説します。
保護者への「犯歴の有無」の開示は禁止
なぜ保護者に回答してはいけないのか
- 保護者からの問い合わせに対し、特定の従事者の特定性犯罪事実の有無を回答することは、第三者提供に該当するため禁止されます。
- 犯歴情報は個人情報保護法上の要配慮個人情報にあたり、保護者への開示は法で定められた防止措置の目的外であるため、法第12条違反となります。
事業者が取るべき代替措置
- 犯罪事実確認の有無そのものを保護者に開示せず、職種単位や事業者全体での確認状況を開示することが推奨されます。
- 特定の従事者が確認対象か否かを回答することは原則控えます。
- 適切なタイミングで事業者全体・職種全体の確認状況を開示することで、個別の質問に対する実質的な対応となります。
派遣元・請負元への「犯歴の有無」の提供は禁止
禁止行為の明確化
- 派遣労働者や請負労働者が特定性犯罪事実該当者であった場合、派遣元・請負事業主に対して犯歴情報を提供することは法第12条違反です。
- 犯歴「あり」と判明した際に、情報そのものを派遣元等に伝える行為は厳禁です。
交代を求める際の実務的対応策
- 契約による事前準備:労働者派遣契約等に「児童対象性暴力等のおそれがある場合に交代を求められる」と明記しておきます。
- 間接的な伝達:派遣元等には、犯歴に限定せず「防止措置を講ずる必要があるため」といった表現で交代要請を行います。
その他の第三者提供の禁止事例と罰則リスク
その他の禁止例
- 犯罪事実確認記録等の情報管理業務を他の事業者に委託することも第三者提供に該当し、禁止されます。
- 犯罪事実確認記録等の廃棄を外部事業者に委託することもできません。
法令違反のリスク
- 法第12条違反:認定事業者等は認定取消事由となります。
- 法第39条違反:確認書に記載された情報を不正に他人に知らせたり不当な目的で利用した場合、刑罰が科されます。
まとめ:厳格な情報管理の徹底
- 保護者や派遣元等への情報提供は、法令違反が発生しやすいポイントです。
- 特定性犯罪事実の有無を伝えることは厳禁です。
- 事業者は以下を徹底することが求められます:
- 犯歴情報をシステム外に出さない
- 必要最小限の関係者に限定する
- 間接的な表現で業務上の指示を行う
これにより、個人の権利を守りつつ、制度への信頼を確保できます。
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