日本版DBS制度における必須の技術防護策:多要素認証、アクセス制御、多層防御の具体的要件

日本版DBSの書類整備を象徴する抽象イメージ(机上に並ぶ書類・印鑑・ファイル) 日本版DBS

技術的情報管理措置の目的と適用範囲

こども性暴力防止法(日本版DBS)に基づく情報管理規程のうち、「技術的情報管理措置」は、犯罪事実確認記録等を扱う情報システムを不正アクセスや内部不正から守るための中核的対策です。
この措置は、認定事業者が独自の情報システムを保有していない場合には適用外となりますが、法関連システムを利用する場合や、内部でデータを管理・保存する場合には、厳格な遵守が求められます。
本稿では、技術的情報管理措置の3つの柱――多要素認証・アクセス制御・多層防御――について、実務的観点から解説します。


アクセス者の厳格な識別と多要素認証の必須要件

犯罪事実確認記録等を取り扱うシステムには、「正当な権限を持つ者だけがアクセスできる状態」を技術的に担保する必要があります。
そのために求められるのが、多要素認証です。

多要素認証の実施例

認定事業者や学校設置者等が運用するシステムでは、以下の組み合わせによる多要素認証が推奨されます。

  • ユーザーIDによる識別+パスワード
  • ICカードまたはセキュリティトークン
  • 生体認証(指紋・虹彩・静脈)
  • ワンタイムパスワードやPIN入力

これにより、パスワード漏えいなどによる「なりすまし」や「権限不正使用」を防ぎ、アクセス権者の真正性を確認することが可能になります。
特に、複数デバイスやクラウド環境を利用する場合は、多要素認証の導入が実効性を高める鍵となります。


情報へのアクセス制御と即時解除義務の徹底

アクセス制御の基本設計

情報システム上で犯罪事実確認記録等を扱う際は、「誰が」「どの機器から」アクセスできるのかを明確に区分し、アクセス権を最小限に設定する必要があります。
保存データは専用のサーバや仮想空間に論理的に分離し、権限を持つ者のみがアクセス可能な状態を維持しなければなりません。

推奨される措置としては、以下が挙げられます。

  • 専用サーバの設置(物理分離または仮想分離)
  • 専用ネットワークやVPNによる回線の限定
  • アクセスログの自動記録と定期監査

こうした設計により、万一他のネットワークが侵害された場合でも、犯罪事実確認記録への直接的なアクセスを防ぐことが可能となります。

離職・異動時の即時対応

従事者が異動・退職する際には、即時にアクセス権限を解除する手続きが求められます。
アカウント削除やパスワードリセットを遅延すると、情報流出の重大リスクとなるため、定期的に権限管理台帳を見直し、不要なアカウントを速やかに削除することが重要です。


外部脅威からの保護と多層防御の構成要素

システムの更新と安全性維持

使用するOSやアプリケーションは、ベンダーのサポートが継続している製品を使用し、常に最新バージョンを維持する必要があります。
サポート切れソフトの使用は、セキュリティホールを生じ、不正アクセスの温床となり得ます。

不正アクセス防止策の標準例

  • アンチウイルスソフトの導入と自動更新
  • ファイアウォール設定による通信制限
  • 業務外インターネット利用の禁止または制限

これらは単体では不十分であり、組織全体での多層的な対策が求められます。

多層防御(Defense in Depth)の構成要素

複数の防御策を組み合わせることで、脅威の侵入・拡散を段階的に食い止める仕組みを構築します。

主な構成要素は以下の通りです。

  • ファイアウォール設置
  • ネットワーク分離とアクセス制限
  • 通信・ファイルの暗号化
  • IDS/IPS(侵入検知・防御システム)による異常監視
  • DLP(データ漏えい防止機能)による送信制御

これらの防御を多層的に構築することで、万一の侵入時にも被害を局所化し、犯罪事実確認記録等の機微情報を保護できます。


まとめ:標準的措置としての多層防御を

技術的情報管理措置は、日本版DBS制度の信頼性を支える基盤です。
とりわけ、犯罪事実確認記録等の取り扱いにおいては、多要素認証・アクセス制御・多層防御の三位一体での運用が不可欠です。
これらは法的義務というだけでなく、「子どもを守るための社会的責務」として位置付けられるべきものです。
事業者においては、現行のIT環境を見直し、標準的措置を満たす技術的体制の構築を進めることが求められます。

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