機微情報の特性と「分離原則」の導入
日本版DBS(こども性暴力防止法)制度で扱われる情報は、犯罪歴に関する極めて機微性の高い要配慮個人情報です。
この情報が漏えいした場合、本人の社会的信用や生活に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。
そこで制度設計の段階から、「本人特定情報(氏名・生年月日・本籍等)」と「犯罪事実確認結果(特定性犯罪事実の有無)」を完全に切り離す分離原則が導入されています。
これにより、情報漏えいが発生しても被害を最小化できる構造となっています。
本人特定情報の「記載回避」義務とリスクの最小化
内閣府令・ガイドラインでの明示的制限
犯罪事実確認書の様式には、氏名・生年月日・本籍などの個人識別情報は一切記載されず、
代わりに**管理番号(申請番号)**のみが記載されることが内閣府令で明確に定められています。
これは、仮に確認書が誤って閲覧・漏えいした場合でも、本人が特定されない構造を確保するための措置です。
「確認結果」と「本人情報」を意図的に分離することにより、データ漏えい時の被害範囲を限定します。
情報漏えいリスクの軽減効果
確認書の中身(例:「特定性犯罪事実に該当しない」など)が外部に知られても、
氏名情報が存在しないため、誰の情報なのか特定できない状態になります。
これにより、情報保護法制の根幹である「最小化の原則」を具体的に実現しているのです。
事業者が整備すべき「管理簿」と責任の明確化
管理番号との照合体制
犯罪事実確認書に氏名が記載されないため、
認定事業者等は、交付された**管理番号を従事者情報と紐づける「管理簿」**を別途整備する必要があります。
この管理簿は、こども家庭庁が保持する犯罪事実確認書管理簿とは別のものであり、
各事業者が自らの情報管理規程に基づいて作成・保存する内部記録です。
組織的情報管理措置との連携
事業者は、この管理簿の取扱いについて以下を明確化することが求められます。
- 管理責任者・取扱部署
- アクセス権限者の範囲
- 利用目的と保存期間
- 管理簿の所在・保管方法
これらの明確化により、「誰が・どの目的で・どのように」情報を扱うのかが可視化され、
組織的情報管理措置の信頼性を高めることができます。
電子・紙媒体の「記録回避原則」との整合性
原則:犯罪事実確認書は画面閲覧で完結
犯罪事実確認書は、原則として「こども性暴力防止法関連システム」上で画面閲覧により交付され、
電子ファイルや紙での保存は極力避けることが基本原則です。
やむを得ず転記・保存を行う場合、その記録は「犯罪事実確認記録」として厳格な管理対象となります。
しかし、そもそも分離原則により、保存すべき情報量を最小限に抑えられる仕組みになっています。
技術的・物理的防護の強化
氏名が記載されない構造により、画面閲覧時に第三者が覗き見したとしても、
個人を特定できない状態が維持されます。
このように、「管理番号のみ記載」という形式は、
情報管理規程が掲げる次の2原則をシステム面で担保しています。
- 犯罪事実確認記録等の取扱者は「必要最小限」に限定すること
- 犯罪事実確認書の内容の記録・保存は「極力避ける」こと
分離原則と技術的防護が一体化することで、
日本版DBS制度における情報管理措置の実効性が飛躍的に高められています。
まとめ:分離原則は制度信頼性の核心
氏名を記載しないという形式的ルールの背後には、
「個人の尊厳と社会的信用を守る」という強い理念が存在します。
この厳格な分離原則は、機微情報を保護しつつも、
事業者が法に基づく確認・報告義務を安全に果たせるよう設計された制度的防護壁です。
行政書士として、貴事業所の情報管理規程において、
「管理番号と従事者情報の照合・管理体制」をいかに確立すべきか、
具体的なルール設計や文書化のサポートを承ります。
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