【初期対応の核心】性暴力被害発覚時に保護者に伝えるべき2つの重要事項

教室や保育現場で大人が子どもに寄り添う様子を象徴する抽象イメージ(現場運用の温かみを表現) FAQ

はじめに:初期対応の重さと本記事の目的

児童に対する性暴力は、被害児童の尊厳と権利を著しく侵害する重大な加害行為です。その影響は長期に及ぶ可能性があり、発覚直後の対応が、児童の回復と司法手続の行方を大きく左右します。
とりわけ、保護者への「第一報」は、感情的な反応や誤った行動が被害児童に二次被害をもたらす危険があるため、極めて慎重に行う必要があります。

本記事では、事業者が初期対応の段階で保護者に伝えるべき**「医療的対応の緊急性」「聴き取りに関する厳格なルール」**の2点について、具体的な留意事項を解説します。


危機管理の最優先事項:身体的安全の確保と医療的対応の伝達

医療機関受診の必要性を明確に伝える

被害児童に外傷がある場合、妊娠や性感染症の可能性がある場合、または薬物使用の疑いがある場合には、速やかに医療機関の受診を勧めることが最優先です。
この段階での判断や対応の遅れは、身体的な回復を妨げるだけでなく、証拠保全にも影響を及ぼす可能性があります。

緊急性の具体的な周知

不同意性交等の被害の訴えがある場合には、72時間以内の緊急避妊薬の服用が必要です。
そのため、ただちに医療機関(産婦人科等)または夜間対応の救急窓口に連絡を取るよう、保護者に伝えます。

専門機関との連携の推奨

医療機関受診の際は、保護者に対して、**性暴力被害者支援機関(ワンストップ支援センター #8891)**の利用を案内することが有効です。
ワンストップ支援センターでは、医療機関への同行支援や、心理的サポート、法的支援の紹介などを受けることができます。


司法手続きを損なわないための厳格な依頼:「記憶の汚染」リスクの回避

「記憶の汚染」とは何か

被害児童は、非専門家から何度も話を聴かれたり、誘導的な質問を受けたりすることで、周囲からの情報を自分の記憶と混同してしまうリスクがあります。
これが「記憶の汚染」です。
誤った記憶の形成は、児童自身をさらに苦しめるだけでなく、司法手続において証言の信用性が失われる重大な結果を招きます。

保護者に依頼すべき「非接触原則」

事業者は、保護者に対し、次の点を明確に伝える必要があります。

  • 児童が自発的に話してこない限り、出来事について話題にしないこと
  • 児童に質問をしたり、事実を確認しようとしないこと

児童の安全確保を最優先としつつ、聴き取りは専門家(児童相談所・警察・臨床心理士等)に委ねることが原則です。

会話時の具体的ルール

被害児童が自ら話しかけてきた場合には、保護者が次の対応を取るよう依頼します。

  • 「話してくれてありがとう。大丈夫だよ」とだけ受け止める。
  • それ以上の質問やコメントは避ける。
  • 児童の発言はそのままの言葉で記録し、日時・場所を明記する。
  • 「なぜ逃げなかったの」「なぜ言わなかったの」といった責めるような質問(WHYの質問)は決して行わない。

これらは、児童の心理的安定を守ると同時に、将来的な司法手続を円滑に進めるための基本原則です。


保護者との連携と事業者の姿勢

感情への共感と誠実な説明

保護者がショックや怒りを表出するのは自然な反応です。事業者はその感情に寄り添いながらも、冷静かつ誠実に対応することが求められます。
また、事実確認が不十分な段階であっても、現時点で把握している情報を丁寧に説明する姿勢を示すことが重要です。
説明が遅れたり曖昧になると、「隠蔽しているのではないか」と疑念を招くおそれがあります。

情報共有と透明性の確保

児童の安全確保を最優先に、事業者は情報管理と透明性の両立を図らなければなりません。
法的義務に基づく報告や相談(児童相談所・警察など)を適切に行いながら、保護者に対しても、事業者が児童を守るために最善を尽くしていることを明確に伝える必要があります。

保護者への啓発の重要性

性暴力に関する正確な知識を持つ保護者は、児童を支える重要なパートナーとなります。
事業者は、リーフレットや説明会等を通じて、

  • 性暴力とは何か
  • 被害発生時の対応方法
  • 児童の権利と支援制度
    について日頃から情報提供を行い、保護者と協働できる体制を整えておくことが望まれます。

まとめ:最初の一言が、児童の回復を左右する

保護者への第一報は、「伝える内容」と「伝え方」が極めて重要です。
事業者は、

  1. 身体的安全と医療的対応を最優先に案内すること
  2. 聴き取りの制限と記録の方法を明確に依頼すること
    の2点を確実に実施する必要があります。

初期対応を誤れば、児童の回復にも、司法の公正にも取り返しのつかない影響を及ぼすことになります。
事業者として、法令と人権の両面から冷静に行動することが、被害児童を守る第一歩です。

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