デジタル時代の安全確保義務:SNS・メール利用における「第三者確認体制」の構築と具体的な工夫

日本版DBSの書類整備を象徴する抽象イメージ(机上に並ぶ書類・印鑑・ファイル) 日本版DBS

なぜ私的デジタルコミュニケーションは「不適切行為」とされるのか

児童対象性暴力等の防止策として、認定事業者等には、性暴力等につながり得る不適切な行為の範囲を明確に定め、周知徹底する法的義務があります。
特に、SNSやメールといったデジタルツールを用いた私的なやり取りは、関係性が密になりやすく、性暴力等に発展するリスクが高いとされています。
本記事では、業務上やむを得ずデジタルツールを使用する場合に求められる「第三者確認体制」の構築と運用について、内閣府令およびガイドラインに基づき具体的に解説します。


私的コミュニケーションの「厳に慎む」原則と高リスク行為の特定

児童等との私的な関係構築につながる行為は、業務上の必要性がない限り不適切行為とみなされます。
SNSアカウントやメールアドレスの交換、オンラインゲーム等での接触などは、軽い気持ちで行われがちですが、継続的な関係形成を誘発するリスク行為です。

不適切行為に該当する具体例

  • 児童等との私的なSNSフォロー・メッセージの送受信
  • 個人端末からの私的メールやチャット
  • オンラインゲーム・動画配信等での交流

原則の徹底

従事者は、業務上必要でない私的連絡を厳に慎むことが求められ、事業者はそのルールを服務規律等に明文化しておく必要があります。


業務上必要なデジタル連絡における「第三者確認」の義務

デジタルツールを業務連絡として使用する場合でも、一対一のやり取りを避けることが基本です。
ガイドラインでは、児童等とのデジタルコミュニケーションにおいて第三者が内容を確認できる状態を確保することを義務付けています。

第三者確認の意義

  • やり取りの透明性の確保
  • 不適切な発言・誘導の抑止
  • 従事者保護(誤解や虚偽申告の防止)

この第三者性を担保することが、性暴力等への発展を防ぐ上で最も効果的なリスクコントロール手段です。


第三者確認を実効性あるものにする具体的な工夫

第三者確認体制は、単なる「確認者の設定」に留まらず、現場で実際に機能する仕組みとして設計する必要があります。

実効性を高める工夫の例

  • チャットグループ運用:SNSのグループチャットにおいて、保護者や他の従事者を必ず宛先に含める。
  • 共有メールアドレスの使用:業務用メールアカウントをチーム単位で管理し、全ての通信を監査可能にする。
  • システム管理によるログ保全:クラウドベースの教育支援システム等を導入し、やり取り履歴を一定期間保管する。

周知と記録の徹底

事業者は、不適切行為の範囲や第三者確認の方法を文書で明確化し、
従事者・児童等・保護者へ定期的な周知を行う義務があります。


個人的な悩みの相談が寄せられた場合の報告と端末利用の制限

児童等からSNSやメールで個人的な相談を受けるケースは、最もリスクが高い状況です。
善意で応じたつもりが、私的関係の形成や誤解を生む原因にもなり得ます。

適切な対応の原則

  • 私的端末での対応禁止:個人のスマートフォンや私用メールを使わず、必ず業務用環境で対応する。
  • 上司等への報告義務:個人的な相談を受けた場合、速やかに上司や管理者に報告し、組織的対応に切り替える。
  • 児童等への説明:秘密を守りつつ、報告が必要な理由を丁寧に説明することで、信頼関係を維持しながら安全を確保する。

まとめ:透明性が「信頼」を生むデジタル運用へ

デジタルコミュニケーションは、教育・保育現場において不可欠なツールとなっています。
しかしその一方で、一対一の閉ざされた環境が性暴力等のリスクを高める要因となることも事実です。

認定事業者や学校設置者は、第三者確認体制を組織的に整備し、透明性と抑止力を備えた仕組みを構築することが求められます。
業務の効率化と安全確保を両立させるためにも、現場の実態に即したコミュニケーションガイドラインの策定が不可欠です。

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