日本版DBSの「児童対象性暴力等」とは

認定対象事業所「も」早めに知るべき定義

※本記事は、令和7年12月22日現在で公表されている「こども性暴力防止法(日本版DBS)」のガイドライン(案)を基に作成しています。将来的な法令・政省令・ガイドラインの確定や改訂により、運用や解釈が変更される可能性があるため、個別事案については最新の公的資料や専門家への確認を前提としてください。


日本版DBSの「児童対象性暴力等」は、身体接触がある行為だけを指しません。
自撮り要求や盗撮、性的影像の保管・送信、言葉による心理的暴力まで含む広い定義です。
保育園・認定こども園はもちろん、認定対象事業所も早めに「定義の共有」から準備が必要です。

施設責任者がまず押さえるべきは「定義」

日本版DBS(こども性暴力防止法)でいう「児童対象性暴力等」は、従来の感覚よりも広い概念として設計されています。施設責任者には、18歳未満の未成年に対する性的被害を「防止」し、起きた場合に「保護」する責務が明確化されました。
その出発点は、組織として「何が性暴力等に当たるのか」を最新の法定義で共有することです。

ポイント① 物理的接触だけではない

不同意性交やわいせつ行為など、身体接触を伴う行為に限定されません。
18歳未満の未成年の尊厳を侵害し、心身に有害な影響を与え得る性的被害が広く対象になります。

現場で起きやすい誤解として、「触れていないからセーフ」という感覚は通用しません。

ポイント② デジタル時代の脅威:「自撮り要求」も性暴力等

SNS等を用いた映像要求(いわゆる自撮り要求)は、明確に「児童対象性暴力等」に含まれます。
また、盗撮や、性的影像を保管・送信する行為も定義の一部として厳格に扱われます。

ポイント③ 言葉やハラスメントによる「心理的暴力」も対象

悪質なセクシュアル・ハラスメントなど、18歳未満の未成年を不快にさせる性的な言動や、性的羞恥心を害して心身に有害な影響を与える行為も、物理的接触がなくても「性暴力等」とみなされ得ます。

条例違反レベルの卑わいな言動等も含まれるため、「犯罪として立件されなければセーフ」という考え方は通用しません。

ポイント④ 「正当な業務」と「性暴力等」の境界線

一方で、正当な業務の範囲内で必要最小限の態様で行われる接触は対象外とされます。
例:着替えの介助、特別支援教育での指導、スポーツ指導での必要な身体接触 等。

ただし、定義上の性暴力等に至らなくても、私的連絡や不必要な密室化などは「不適切な行為」として、指導や再発防止が求められます。

施設責任者が“今”やるべきこと

1)服務規律の再定義(法定義に基づく明確化と周知)

  • 就業規則・マニュアルに「児童対象性暴力等」の網羅的定義を明記する
    • 不同意性交・わいせつ行為だけでなく
    • 自撮り要求、盗撮、性的影像の保管・送信
    • 悪質なセクハラ、条例違反レベルの卑わいな言動等
  • 「不適切な行為」を施設として具体的に定義する
    • 例:児童等との私的SNS交換、理由のない密室での二人きり
    • 不必要な身体接触(マッサージ、膝に乗せる等)
    • 特定の児童への特別扱い 等
  • 懲戒処分と連動させる
    • 防止措置や懲戒処分を行うなら、就業規則に事由・種別の定めが必要

2)研修で“行動変容”まで落とし込む(座学+演習)

  • 研修には法で定められた8つの事項を含める
    • 性暴力が生じる要因(認知の偏り、性的手なずけ等)
    • こどもの権利、早期把握、情報管理 等
  • 座学だけでなく「演習」を組み合わせる(必須要件)
    • 相談対応のロールプレイ
    • 境界線の判断を具体場面で考えるワーク
  • 自撮り要求や性的な冗談は「悪ふざけ」ではなく重大な権利侵害だと定着させる
  • 採用時だけでなく、定期的に実施する(研修時間は労働時間に含まれる点に留意)

義務対象施設だけでなく、認定対象事業所も“後回しにしない”

日本版DBSの「児童対象性暴力等」は、身体接触だけに限定されない広い定義です。施設責任者がこの定義を理解し、就業規則・マニュアルに落とし込み、研修(演習含む)で定着させることが、最大の予防になります。

保育園・認定こども園・障害福祉施設等の義務対象施設のみならずスポーツクラブ、学習塾などの認定対象事業所も、「うちはまだ先」とせず、まずは組織内で定義を共有するところから始めてください。

日本版DBSの対応、「うちの場合はどうなる?」と感じたら

日本版DBS(こども性暴力防止法)は、施設の種別・運営形態・職員体制によって、必要な対応が異なります。

保育園・認定こども園・障害福祉施設といった義務対象施設ははもちろん、スポーツクラブ、学習塾などの認定対象事業所でも、「どこまで準備すればよいのか分からない」という声を多く伺います。

  • 就業規則やマニュアルは、このままで足りるのか
  • 研修や演習は、どこまで求められるのか
  • 自園・自施設の運営形態で、注意すべき点はどこか

施設ごとの状況に応じた整理が必要な段階です。

👉 日本版DBS(こども性暴力防止法)に関するご相談はこちら

タイトルとURLをコピーしました