日本版DBSにおける「一体的運営」の特例とは|併設施設の事務整理と6要件

※本記事は、令和7年12月22日現在で公表されている「こども性暴力防止法(日本版DBS)」のガイドライン(案)を基に作成しています。将来的な法令・政省令・ガイドラインの確定や改訂により、運用や解釈が変更される可能性があるため、個別事案については最新の公的資料や専門家への確認を前提としてください。

1.はじめに|なぜ「一本化」が必要なのか

日本版DBS(こども性暴力防止法)では、制度上、次の 二層構造 が採られています。

  • 義務対象事業
    法律により対応が義務付けられている「学校設置者等(保育園等)」
  • 認定対象事業
    任意で認定を受ける「民間教育保育等事業者(学童等)」

同一法人がこれらを併設・運営している場合、原則として、

  • 義務対象事業の職員
  • 認定対象事業の従事者

は、制度上は別枠で整理され、それぞれについて人事管理・報告・安全確保措置を行う必要があります。

この結果、実態は一体であるにもかかわらず、制度上は二重の事務負担が生じるという問題が発生します。

この負担を解消するために設けられているのが、「一体的運営」の特例です。

2.「一体的運営」と認められるための6つの要件

ガイドライン案では、一定の要件を満たす場合、
認定対象事業の従事者を 「教員等」と整理することができるものとする
と明記されています。

そのためには、次の 6つの要件すべて を満たす必要があります。

① 同一の事業者

両方の事業が、完全に同一の法人によって運営されていること。

② 規模のバランス

予算・児童数・従事者数等において、
義務対象事業(保育園等)が主たる事業である、
または 少なくとも同規模 であること。

③ 方針の統一

次のルールが、全事業で 共通の方針として整備・運用 されていること。

  • 犯歴確認
  • 安全確保措置
  • 情報管理

④ 人事の一元化

勤務体系やシフト管理が、
一つの人事管理体制のもとで一元的に行われていること

⑤ スタッフの相互融通

認定対象事業側のスタッフが、
義務対象事業(保育園等)の業務にも従事し得る実態 があること。

⑥ 物理的近接(同一敷地内)

原則として、
同一敷地内に両事業所が存在 し、
管理監督に支障がないこと。

3.「一体的運営」と整理できる具体例

● 保育園・認定こども園の場合

園の設置者が、園内で実施する次の事業に従事する者。

  • 一時預かり事業
  • 放課後児童健全育成事業(学童)

● 児童養護施設・乳児院の場合

施設内で付随的に行われる次の事業に従事する者。

  • 子育て短期支援事業
  • 児童自立生活援助事業

注意点

同一敷地内であっても、

  • 運営主体が異なる事業者 が事業を行っている場合

には、この特例は適用されず、
認定対象事業としての整理・手続が必要となります。

4.制度上整理される実務的な効果

「一体的運営」として整理されることで、
制度上、次のような取扱いが可能になります。

● 認定申請の不要化

認定対象事業としての、

  • 個別の認定申請
  • 更新手続
  • 認定手数料(3万円)

は不要となります。

● 定期報告の一本化

年1回の定期報告において、認定対象事業分を含め、義務対象事業として一体的に報告 する整理が可能となります。

● 情報管理の一元化

犯罪事実確認記録等について、

  • 保存
  • 管理
  • 廃棄

を、法人全体で共通のルール・スケジュール に基づいて行うことになります。

5.重要な留意点|情報管理規程の整備時期

ガイドライン案では、犯罪事実確認を実施する事業者は、

初めて交付申請を行う前に、情報管理規程を提出すること

が求められています。

一体的運営により、
認定対象事業の従事者を 義務対象事業の「教員等」として整理する場合 であっても、

  • 義務対象事業として 初めて交付申請を行うタイミングまでに
  • この特例運用を反映した 情報管理規程を整備・提出しておく必要 があります。

まとめ

「一体的運営」の特例は、
同一法人が運営する 本館(保育園)別館(学童)
正式な連絡通路でつなぐ制度 です。

  • 入館時のセキュリティチェック(犯歴確認)は共通
  • 管理室(人事管理・情報管理)も共通
  • スタッフも制度上、同一の区分として整理される

この状態が、
6つの要件によって制度上明確に確認できる場合 に限り、
別館ごとに認定申請という「別の入口」を設ける必要はありません。

そのため、
実態だけでなく、
規程・体制・運用のすべてが一体化していること
所轄庁に対して説明できる状態にしておくことが重要です。

日本版DBSの対応、「うちの場合はどうなる?」と感じたら

日本版DBS(こども性暴力防止法)は、施設の種別・運営形態・職員体制によって、必要な対応が異なります。

保育園・認定こども園・障害福祉施設といった義務対象施設ははもちろん、スポーツクラブ、学習塾などの認定対象事業所でも、「どこまで準備すればよいのか分からない」という声を多く伺います。

  • 就業規則やマニュアルは、このままで足りるのか
  • 研修や演習は、どこまで求められるのか
  • 自園・自施設の運営形態で、注意すべき点はどこか

施設ごとの状況に応じた整理が必要な段階です。

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