家庭的保育・小規模保育の日本版DBS対応|犯罪事実確認と運営基準整理

※本記事は、令和7年12月22日現在で公表されている「こども性暴力防止法(日本版DBS)」のガイドライン(案)を基に作成しています。将来的な法令・政省令・ガイドラインの確定や改訂により、運用や解釈が変更される可能性があるため、個別事案については最新の公的資料や専門家への確認を前提としてください。

はじめに:家庭的保育事業等に義務が課される理由

家庭的保育事業等とは、児童福祉法に基づく認可事業であり、保護者の監視が及ばない環境で児童を預かる事業形態です。
このような事業は、児童と従事者との関係性が密接になりやすく、第三者の目が届きにくい場面が生じやすいという特性があります。

日本版DBS(こども性暴力防止法)では、こうした特性を踏まえた上で、家庭的保育事業等を含む対象事業者に対し、性暴力防止のための包括的な義務を課しています。

令和8年12月25日の施行日以降、次の対応が一体として義務化されます。

  • 犯罪事実確認
  • 日常における早期把握
  • 相談・通報体制の整備
  • 防止措置の実施
  • 研修の実施
  • 犯罪事実確認記録等の情報管理

ステップ1:対象者の特定と犯罪事実確認

確認対象となる「教員等」の整理

犯罪事実確認の対象は、資格や職名のみで一律に決まるものではありません。
児童との関係において、次の3要件を満たす接触がある場合、確認対象となります。

  • 支配性
  • 継続性
  • 閉鎖性

このため、施設長や保育士に限らず、調理員、事務員、補助者等であっても、児童との関わり方によっては確認対象となります。

確認期限

犯罪事実確認には、次の期限が設けられています。

  • 新規採用者:業務開始までに確認を完了する必要があります。
  • 現職者:施行日から3年以内に確認を完了する必要があります。

そのため、対象者の把握と確認時期を整理した管理が必要となります。

いとま特例の位置づけ

急な欠員等により、業務開始までに犯罪事実確認が間に合わない場合には、「いとま特例」により事後確認が認められています。

ただし、特例の適用中は、次の措置が義務付けられています。

  • 事後確認は3〜6か月以内に実施します。
  • その間、児童と一対一の状況を生じさせない等の代替措置を講じます。

ステップ2:情報管理措置の整理(小規模施設の場合)

管理体制の要件

犯罪事実確認記録等の管理については、情報管理責任者を必ず定めなければなりません。

最低限求められる措置

大規模な設備投資が困難な場合には、ガイドラインに基づき「最低限求められる措置」を選択できます。

区域の特定

  • 専用室の設置は必須ではありません。
  • のぞき見防止や閲覧時間の制限等により対応できます。

記録の最小化

  • 電子ファイルや紙媒体への転記・保存を極力行わないようにします。
  • 法関連システム上での閲覧に留めます。

これにより、情報漏えいのリスクを低減することができます。

ステップ3:日常観察と不適切な行為の整理

不適切な行為の明確化

性暴力防止にあたり、犯罪行為に至る前段階としての「不適切な行為」を整理することが求められています。

具体例として、次のような行為が挙げられます。

  • SNS等による私的な連絡
  • 業務上の必要性がない身体接触
  • 特定の児童のみを特別に扱う行為

これらを施設として具体的に定義し、職員間および保護者との間で共有することが想定されています。

日常観察の実施

密室化を防ぐため、次のような対応を日常業務として行います。

  • 複数の目による見守り
  • 管理職による定期的な巡回
  • 日常的な声掛け

ステップ4:就業規則・研修等の整備

就業規則・契約書の整理

特定性犯罪事実が判明した場合や、不適切な行為が継続する場合に備え、対象業務から外す(配置転換等)ための根拠を、就業規則や契約書に明記しておく必要があります。

研修と記録の保存

全スタッフを対象に、座学と演習を組み合わせた研修を実施します。
研修内容は8つの必須項目を含み、受講状況については記録として保存します。

まとめ:制度遵守と事業運営

日本版DBSに基づく義務に違反した場合、児童福祉法等に基づく運営基準違反と評価される可能性があります。
その結果、業務停止や認可取消し等の行政処分につながる場合があります。

一方で、必要な体制を整備し、法定事業者マークを表示することにより、制度上求められる安全対策を講じている事業者であることを外部に示すことができます。

日本版DBSの対応、「うちの場合はどうなる?」と感じたら

日本版DBS(こども性暴力防止法)は、施設の種別・運営形態・職員体制によって、必要な対応が異なります。

保育園・認定こども園・障害福祉施設といった義務対象施設ははもちろん、スポーツクラブ、学習塾などの認定対象事業所でも、「どこまで準備すればよいのか分からない」という声を多く伺います。

  • 就業規則やマニュアルは、このままで足りるのか
  • 研修や演習は、どこまで求められるのか
  • 自園・自施設の運営形態で、注意すべき点はどこか

施設ごとの状況に応じた整理が必要な段階です。

👉 日本版DBS(こども性暴力防止法)に関するご相談はこちら

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