【保育園・こども園】日本版DBSの「防止責務」と「保護責務」とは?法律上の義務をわかりやすく解説

※本記事は、令和7年12月22日現在で公表されている「こども性暴力防止法(日本版DBS)」のガイドライン(案)を基に作成しています。将来的な法令・政省令・ガイドラインの確定や改訂により、運用や解釈が変更される可能性があるため、個別事案については最新の公的資料や専門家への確認を前提としてください。


はじめに:なぜ、保育園・認定こども園に日本版DBSが求められるのか

保育園や認定こども園など、こどもを日常的に預かる現場において、
こどもに対する性暴力事案は継続的に発生してきました。
こうした行為は、こどもの心身の発達に深刻な影響を及ぼし、その影響は生涯にわたることも少なくありません。

日本版DBS(こども性暴力防止法)は、
こどもが心身ともに健やかに育つべき教育・保育の場において、性暴力を決して許さない
という明確な理念のもと、保育園・認定こども園(※1)の運営者に具体的な責務を課す法律です。


「防止責務」の定義:日本版DBSが保育園に求める未然防止の義務

法的定義

日本版DBS(こども性暴力防止法)では、
保育園・認定こども園を含む学校設置者等および認定事業者に対し、
教育保育等従事者による児童対象性暴力等を防止するよう努める責務を定めています(法第3条第1項)。

これは、「問題が起きてから対応すればよい」という考え方ではなく、
日常の運営の中で、性暴力が起きない仕組みを整えることを求める義務です。

具体的な役割(保育園・認定こども園の実務)

防止責務として、保育現場で特に重要となるのが次の対応です。

  • 犯罪事実確認(Vetting)
    採用時や在職中の保育士・職員に対し、性犯罪歴の有無を確認し、
    リスクのある者をこどもに直接関わる業務に就かせない仕組みを運用します。
  • 安全確保措置の実施
    職員研修の実施、保育室や園内の死角を減らす環境整備、服務規律の明確化と徹底などにより、
    性暴力が起こりにくい保育環境を日常的に構築することが求められます。

「保護責務」の定義:日本版DBSが求める、疑い段階からの対応

法的定義

日本版DBS(こども性暴力防止法)では、
仮に児童対象性暴力等が行われた、またはその疑いがある場合であっても、
保育園・認定こども園の運営者は、児童等を適切に保護する責務を負うと定めています(法第3条第1項)。

重要なのは、事実が確定していなくても、この責務が発動する点です。

具体的な役割(保育現場で求められる対応)

  • 早期把握と相談体制の整備
    こどもの様子の変化を見逃さず、
    こどもや保護者が安心して相談できる体制を整えることが求められます。
  • 迅速かつ適切な調査
    疑いが生じた場合には、関係者の名誉や尊厳に十分配慮しながら、
    事実関係を正確に確認する対応が必要です。
  • 保護・支援の実行
    被害児童と加害者の接触回避を最優先とし、
    専門的な支援機関に関する情報提供や、誠実な相談対応など、
    こどもが日常を取り戻すための具体的な支援を行います。
区分① 防止責務(未然に防ぐ)② 保護責務(疑い・発生時)
タイミング日常・採用時疑いが生じた時点
主なアクション・犯歴確認(Vetting)
・死角の解消
・研修の実施
・被害者と加害者の引き離し
・警察への相談
・二次被害の防止
法的根拠法第3条 第1項(前段)法第3条 第1項(後段)

なぜ保育園・認定こども園に重い責務が課されているのか

日本版DBS(こども性暴力防止法)が、保育園・認定こども園をはじめとした施設にに強い責務を課している背景には、
保育という環境が持つ構造的な特性があります。

👑 支配的・優越的立場

  • 先生と生徒という上下関係があり、こどもが拒絶しにくい構造にあります。

🔗 継続的・密接な関係

  • 信頼関係を悪用した「手なずけ(グルーミング)」が生じやすい環境です。

🙈 保護者の目が届かない

  • 密室や死角が生じやすく、外部からの発見が遅れるリスクがあります。

これらの事情から、保育園・認定こども園には、
性暴力の発生に対して特別の注意を払うことが法的に求められています。


5.国の役割:日本版DBSにおける事業者支援

日本版DBS(こども性暴力防止法)では、
これらの責務を保育園・認定こども園だけに負わせるのではなく、
国(こども家庭庁)にも必要な情報提供や制度整備を行う義務が定められています(法第3条第2項)。

犯歴照会システムの提供やガイドラインの策定は、
園が防止責務・保護責務を適切に果たすための公的支援の一環です。


6.結び:保育園・認定こども園が担う「こどもを守る現場」の責任

日本版DBS(こども性暴力防止法)において、
保育園・認定こども園の責務を明確にすることは、
単なる罰則強化を目的としたものではありません。

それは、社会全体でこどもを守る責任を、保育現場の実務に落とし込むことです。

適切な情報管理と透明性の高い運営を通じて、
誰もが安心してこどもを預けられる保育環境の実現が求められています。

※1・・・本文中では説明の便宜上、保育園や認定こども園を例に挙げていますが、**日本版DBS(こども性暴力防止法)**において以下の業種が「学校設置者等」に該当します。

学校教育法関係:
◦ 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校
◦ 特別支援学校、高等専門学校(1〜3年生)
◦ 専修学校(高等課程)

認定こども園関係:
◦ 幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型の全ての認定こども園

児童福祉法関係:
◦ 保育所、児童館、児童相談所(一時保護施設含む)
◦ 乳児院、児童養護施設、母子生活支援施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設
◦ 障害児入所施設、指定障害児通所支援事業(放課後等デイサービスなど)
◦ 家庭的保育事業等(いわゆる保育ママ、小規模保育、事業所内保育など)
◦ 乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)


日本版DBSの対応、「うちの場合はどうなる?」と感じたら

日本版DBS(こども性暴力防止法)は、施設の種別・運営形態・職員体制によって、必要な対応が異なります。

保育園・認定こども園・障害福祉施設といった義務対象施設ははもちろん、スポーツクラブ、学習塾などの認定対象事業所でも、「どこまで準備すればよいのか分からない」という声を多く伺います。

  • 就業規則やマニュアルは、このままで足りるのか
  • 研修や演習は、どこまで求められるのか
  • 自園・自施設の運営形態で、注意すべき点はどこか

施設ごとの状況に応じた整理が必要な段階です。

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