※本記事は、令和7年12月22日現在で公表されている「こども性暴力防止法(日本版DBS)」のガイドライン(案)を基に作成しています。将来的な法令・政省令・ガイドラインの確定や改訂により、運用や解釈が変更される可能性があるため、個別事案については最新の公的資料や専門家への確認を前提としてください。
1.はじめに:日本版DBSの「守るべき対象」を正しく知る
日本版DBS制度の目的は、児童等に対する性暴力を防止し、こどもたちの心身の健全な発達に寄与することにあります。
この目的を達成するため、本制度では「誰を守るのか」という対象範囲が、法律およびガイドライン案において明確に定義されています。
事業者が適切な安全確保措置を講じるためには、まず
「自施設・自事業が、誰を守る義務を負っているのか」
という点を正確に理解することが不可欠です。
2.「児童等」の定義:3つの主要なカテゴリー
ガイドライン案では、「児童等」は次の3つのカテゴリーに整理されています。
🏫 カテゴリー1:学校在籍者
- 幼稚園〜高校、特支、幼保連携型認定こども園など
- ※年齢に関わらず、在籍していれば対象
🔞 カテゴリー2:18歳未満のすべての人
- 学習塾、スポーツクラブ、民間教室の生徒など
- ※学校に通っていなくても、年齢でカバーされる
🎓 カテゴリー3:高専生・専修学校生
- 高専(1〜3年)、専修学校高等課程 ※今回明確化された重要なポイント
3.なぜ「18歳以上の高校生」も対象に含まれるのか
高校3年生など、在学中に18歳に達している場合であっても、
学校に在籍している生徒は「児童等」に含まれます。

えっ? 18歳になった高校3年生は『成人』だから、対象外じゃないんですか?

実は、在学中であれば対象に含まれます。教育現場特有の『力関係(先生と生徒)』があるため、年齢だけで区切らず保護する必要があるからです。
この考え方は、既存の「教員性暴力等防止法」の枠組みを踏襲しつつ、
より広く保護する方向へ拡張された定義といえます。
4.高専生(1〜3年)が対象に加えられた背景
⚠️ ここに注意:高専生は「3年生」までが対象! 高等専門学校(高専)の場合、全学年ではなく**「第1学年から第3学年まで(高校相当)」**が対象範囲となります。4年生以上の学生への対応とは区別して管理する必要があります。
これは、
- 高専においても高校と同様の教育環境が存在すること
- 指導関係における力関係や支配性が生じ得ること
を踏まえ、性暴力から保護する必要性が高いと判断されたためです。
5.事業者が実務で注意すべきポイント
対象者の特定
「学校ではないから関係ない」「18歳を過ぎているから対象外」といった判断は、
制度の定義と一致しない場合があります。
支配性の認識
成人とこどもという関係性においては、
- 短時間の接触
- 不定期な会話
- 日常的な指導や助言
であっても、自然と支配性・優越性が生じ得ることを前提に考える必要があります。
すべての「児童等」に対し、特別な注意と配慮を行うことが求められます。
6.結び:すべての「児童等」が安心して学べる環境へ
「児童等」の範囲を、広く、かつ具体的に定めていることは、
支援や保護の漏れを防ぐための第一歩です。
事業者はこの定義を踏まえ、
- 日頃の面談
- アンケートの実施
- 相談体制の整備
を通じて、こどもの尊厳と安全を守る組織づくりを進めていくことが求められます。
- Q18歳の誕生日を過ぎた高校3年生は、「児童等」の対象外になりますか?
- A
いいえ、対象となります。年齢が18歳に達していても、高校等の学校に「在籍」している生徒であれば、卒業するまで保護の対象(児童等)に含まれます。
- Q学習塾に通っている「浪人生(19歳)」は対象になりますか?
- A
原則として対象外となります。学習塾は学校教育法の「学校」ではないため、在籍要件ではなく「年齢(18歳未満)」で判断されます。したがって、19歳の生徒に対する指導は本制度の義務対象外となる可能性が高いです。
- Q高等専門学校(高専)の学生は全員対象ですか?
- A
いいえ、全員ではありません。高専生のうち「第1学年から第3学年まで(高校相当の学年)」の学生が対象となります。4年生以上の学生は、本制度の「児童等」には含まれません。
日本版DBSの対応、「うちの場合はどうなる?」と感じたら
日本版DBS(こども性暴力防止法)は、施設の種別・運営形態・職員体制によって、必要な対応が異なります。
保育園・認定こども園・障害福祉施設といった義務対象施設ははもちろん、スポーツクラブ、学習塾などの認定対象事業所でも、「どこまで準備すればよいのか分からない」という声を多く伺います。
- 就業規則やマニュアルは、このままで足りるのか
- 研修や演習は、どこまで求められるのか
- 自園・自施設の運営形態で、注意すべき点はどこか
施設ごとの状況に応じた整理が必要な段階です。


