犯罪事実確認における「いとま特例」について解説

日本版DBS制度の概要を象徴する抽象イメージ(法律書と議事堂のイラスト) 制度概要

本記事では、児童対象性暴力等防止法(こども性暴力防止法)における犯罪事実確認の例外措置「いとま特例」について、その要件・期限・適用される具体的状況を整理します。

この特例は、学校や認定事業者が急な欠員や人事の遅延などに直面し、業務開始前に犯罪事実確認を完了できない場合に、業務開始後の一定期間内に確認を行うことを認める制度です。

主要なポイント

  • 確認期限の二段階設定:原則は3ヶ月以内。事情によって6ヶ月まで延長可能。
  • 「やむを得ない事情」の明確化:急な欠員、人事異動、契約の遅延、組織再編など具体的に類型化。
  • 柔軟な期限延長:交付申請をしても国からの交付が遅れた場合は自動的に6ヶ月へ延長。
  • 安全確保措置の義務:特例適用期間中は対象職員を「特定性犯罪事実該当者」とみなし、児童保護のための措置を義務付け。

この仕組みは、児童の安全確保を最優先しながらも、事業運営上の現実的課題に対応するバランスを持っています。


「いとま特例」の概要と法的根拠

「いとま特例」は、令和6年法律第69号(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等防止法)に定められた例外規定です。

  • 法的根拠
    • 学校設置者等:法第4条第2項
    • 認定事業者等:法第26条第2項
  • 目的
    急な欠員や人事の直前内示などにより、業務開始までに確認を行う時間的余裕(いとま)がない場合に、業務開始後の一定期間内での確認を認める
  • 適用要件
  • 内閣府令で定める「やむを得ない事情」があること
  • 直ちに従事させなければ事業運営に著しい支障が生じること
  • 特例適用中の義務
    犯罪事実確認が完了するまで、対象職員を「特定性犯罪事実該当者」とみなし、必要な安全確保措置を講じなければなりません。

犯罪事実確認の期限設定

原則:3ヶ月以内

業務従事開始日から3ヶ月以内に確認を完了する。
→ 急な増員や欠員対応など一般的なケース。

延長:6ヶ月以内(法定上限)

以下の事情がある場合、期限は6ヶ月まで延長可能。

  1. 組織変更等:合併や新設で多数の対象者が一度に発生する場合
  2. 国からの交付遅延(申請時):余裕をもって申請したが交付が間に合わない場合
  3. 国からの交付遅延(特例適用後):3ヶ月の特例期限内に申請しても交付がなかった場合 → 自動的に6ヶ月へ延長

「やむを得ない事情」の類型化

学校設置者等(法第4条第2項)

分類やむを得ない事情確認期限
新規採用急な欠員・増員、事業者の責に帰さない採用3ヶ月以内(交付遅延時は6ヶ月)
異動内示が直前となる異動(教育委員会・同一事業者内)3ヶ月以内(交付遅延時は6ヶ月)
事業者間契約労働者派遣契約等の締結遅延3ヶ月以内(交付遅延時は6ヶ月)
組織変更等新設合併、新設分割、吸収合併、学校新設等6ヶ月以内
その他申請済みだが交付されない場合、災害等6ヶ月以内

認定事業者等(法第26条第2項)

分類やむを得ない事情確認期限
新規採用急な欠員、事業者の責に帰さない採用3ヶ月以内(交付遅延時は6ヶ月)
異動他事業者との人事交流や内示の遅れ3ヶ月以内(交付遅延時は6ヶ月)
事業者間契約契約締結の遅延3ヶ月以内(交付遅延時は6ヶ月)
組織変更等新設合併、吸収合併、事業譲渡等6ヶ月以内
その他申請済みだが交付されない場合、災害等6ヶ月以内

※認定事業者については、認定時点で在職していた者の確認は認定日から1年以内(法第26条第3項)。


まとめ

「いとま特例」は、

  • 子どもの安全を守るための確認を必須としつつ、
  • 事業者の運営上やむを得ない事情に対応できる柔軟性

を兼ね備えた制度です。

業務開始前に犯罪事実確認ができない場合でも、特例を適用することで事業継続が可能となりますが、同時に「特定性犯罪事実該当者」とみなし、児童保護措置を徹底することが求められます。

厳格な対応が求められますので、責任者・採用担当者の方々におかれましては、就業規則の整備と共に貴事業所に必要な対応を早めにご準備お願いいたします。

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