調査実施の義務
学校設置者等は、児童対象性暴力等が行われた疑いがあると認める場合、事実の有無及び内容について調査を行う義務があります(法第7条第1項)。これは児童の安全確保のために不可欠な措置です。
公正・中立な実施の原則
調査は、加害が疑われる対象業務従事者の人権にも配慮し、公正かつ中立に行われることが内閣府令で定められています。調査の偏りや不当な取り扱いを避け、客観的事実の把握を目指します。
人権・特性への配慮
児童等の人権や特性に十分配慮し、その名誉や尊厳を害しないよう注意して調査を行うことが求められます。児童が心理的負担を受けることのないよう慎重に進める必要があります。
被害児童の「記憶の汚染」防止と聴き取りの限界
「記憶の汚染」のリスク
「記憶の汚染」とは、被害児童に対して何度も聴取したり、誘導的な質問を行うことで、周囲からの情報を自分の経験と誤認したり、実際に体験していないことを体験したと信じ込んでしまう現象を指します。このリスクは特に幼少期など記憶能力が発達途中の児童に生じやすいとされています。
聴き取りにおける専門性の要求
被害児童への聴き取りでは、記憶の汚染を防ぎ、心理的二次被害を生じさせず、かつ司法手続につなげられることが求められます。聴き取りの方法を誤ると、証拠として信用性を欠く可能性があるため、専門人材による対応が望まれます。
事業者による聴き取りの原則的制限
犯罪に該当する可能性が少しでもある場合、事業者による聴き取りは原則として、児童が自発的に話す内容に留めるべきです。判断が難しい場合は、直ちに警察等の司法機関と連携することが推奨されます。
聴き取りの具体的配慮事項(二次被害防止)
誘導的な聴き取りの禁止
「〇〇先生がやったの?」のような誘導的質問や、「なぜそうしたのか」と非難と受け取られかねない質問は避けます。代わりに「どのようにしてそこに行くことになったの?」のようにHOWに置き換えることが推奨されます。
反復聴取の回避
同じ内容を複数の担当者から繰り返し聴くことは児童の心身に負担をかけるため、極力避けることが望ましいです。
聴き取り体制の専門家連携
聴き取りが難しい場合は、児童への対応経験を有する専門家(臨床心理士、公認心理師、弁護士等)と連携します。警察による事情聴取が行われるまでの間、児童に対して「今は詳しい話を聞かないことがあなたを守ることになる」「後で必ず話を聞く機会がある」と丁寧に説明することが重要です。
加害が疑われる者への対応と情報保全
加害者への人権配慮
加害が疑われる者への聴き取りでも、人権を尊重し、公正・中立に対応することが求められます。
証拠隠滅防止のための警察連携
犯罪の疑いがある場合、事業者が単独で加害者に事実確認を行うことは避けます。これは証拠隠滅や逃亡の可能性を防ぐためです。
客観証拠の保全
施設内防犯カメラの映像、SNSのやり取り、出退勤履歴、性暴力に使用された物品などは、洗浄せず保全し、警察等の要請に協力する義務があります。
調査体制と研修による対応能力の向上
調査チームの整備
事案の内容や状況に応じ、関係機関と適切に連携した調査チームを整備することが重要です。
研修による理解の深化
従事者は、記憶の汚染や児童の負担に配慮した事実確認方法を含む研修を定期的に受けることで理解を深める必要があります。
外部専門家の活用
調査や児童保護・支援に関する経験を持つ外部機関をリスト化し、日頃から弁護士等の専門家と関係性を構築しておくことが望まれます。
この記事により、児童対象性暴力の疑いに関する調査は、法令に基づく義務と人権配慮を両立させた厳格な原則の下で実施されることが明確になります。
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