【DBS法 実務徹底】特定性犯罪事実該当者と「みなす」措置:いとま特例適用期間の厳格な運用体制

日本版DBS制度の概要を象徴する抽象イメージ(法律書と議事堂のイラスト) FAQ

法的義務としての「必要な措置」と事業者責任

いとま特例(法第4条第2項、第26条第2項)が適用される場合、犯罪事実確認が完了するまでの間、当該従事者は特定性犯罪事実該当者とみなされます。この状態では、性犯罪の再犯リスクが不明であることを踏まえ、事業者は法第6条の防止措置に類する「必要な措置」を講じる義務があります。
適切な措置の実施は、認定維持の重要基準であり、万一不備があれば認定取消しのリスクが生じます。したがって、事業者は運用設計を慎重に行い、研修・環境整備・監督体制の徹底が求められます。


基本原則の徹底と業務からの分離

研修優先の原則と対児童業務の分離

当該従事者には、原則として対児童業務ではなく研修時間を優先的に充てる運用設計が必要です。研修の内容には以下が含まれます。

  • いとま特例の趣旨の理解
  • 必要な措置の具体的内容(例:一対一回避ルール)
  • 違反した場合の処分対象となることの周知

研修は単なる知識伝達にとどまらず、対象者に現在「特定性犯罪事実該当者とみなされている」という特別な地位を認識させることを目的とします。

物理的な接触回避:シフト管理と環境整備

一対一の状況を回避するため、以下の措置を講じることが求められます。

  • 一人になりやすいシフトの排除
  • 対面指導が避けられる業務は極力リモートで実施
  • 教室や業務場のレイアウトを見直し、常に複数人での行動を促す

暫定措置としての研修受講義務

研修には、児童対象性暴力防止に関する内容に加え、いとま特例適用期間中の必要措置を具体的に含める必要があります。これにより、対象者は自己の地位と義務を正しく理解します。


管理職に課せられる「継続的な巡回・声掛け」の法的要件

巡回の目的と継続的な状況把握の義務

管理職は、定期的な巡回・声掛けを通じ、当該従事者と児童等の状況を継続的に把握する必要があります。確認項目の例は以下の通りです。

  • 一対一の状況が生じていないか
  • 不適切な接触や行動の有無
  • 業務環境や配置に問題がないか

一対一の解釈の拡大:未就学児・障害児への留意

乳幼児や障害児は異変を認識・伝達できない場合があります。この場合、従事者と児童等が複数人であっても、実質的に「一対一」とみなし、接触回避措置を講じることが必要です。

措置に関する事前伝達義務の重要性

措置内容や違反時の処分について、採用段階などで書面により対象者に伝達することが重要です。これにより、措置違反があった際の懲戒処分の法的根拠を補強できます。


例外的な「1対1」対応の厳格な手続きと記録義務

計画的な例外の事前報告と了解の取得

やむを得ず一対一になる場合、管理職に対して以下を事前に報告・了解取得することが必須です。

  • 時間・場所・対象児童
  • 一対一になる必要性の説明

可能な範囲で記録を残すことで、措置の正当性を証明できます。

突発的な緊急事態と事後報告の徹底

突発的な事件・事故・災害、またはおむつ替え・排せつ介助・体調不良対応など、安全確保のためやむを得ない場合は、事前了解は不要です。ただし、事後に速やかに管理職等に報告する義務があります。

「必要な体制確保」の前提と例外の制限

緊急時に他の従事者が対応できない状況が通常生じないよう、事業者は必要な体制を事前に確保する必要があります。長時間の一対一を前提とした通常シフトへの組み込みは原則認められません。

物理的環境とリスク軽減策の活用

一対一が避けられない場合でも、外部から視認性の高い場所や防犯カメラ設置済み個室の使用を検討します。可能であればリモート実施もリスク軽減策として有効です。


いとま特例期間中の運用を誤ると、児童の安全確保義務違反として認定取消し等の重大処分の対象となります。事業者は研修・シフト管理・管理職巡回・例外対応の記録などを含む厳格な運用体制を構築することが不可欠です。

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