報告義務が例外を正当化する
いとま特例適用者(犯罪事実確認未了者)は、特定性犯罪事実該当者とみなされるため、原則として児童等との一対一接触は禁止されています。しかし、業務上やむを得ない場合や緊急時には、例外的に一対一対応が認められます。
この例外措置を適用する際の鍵となるのが、管理職への「事前報告と了解」、または「事後報告」という厳格な手続きです。報告義務を怠ると、直ちに措置義務違反となるリスクが生じます。
計画的な1対1対応:事前報告と了解の必須運用設計
事前報告の必須項目と記録義務
やむを得ず一対一になる場合は、事前に管理職等に対し以下の四項目を説明し、了解を得ることが必須です。
- 時間・場所
- 対象児童
- 一対一になる必要性(専門的見地を含む)
- 当該措置の正当性
突発的な場合を除き、可能な範囲で事前報告内容を記録に残すことが、事後的な正当性証明のために求められます。
専門的判断による例外の証明
スクールカウンセラー等による面談のように、一対一でなければ児童の心理的障壁が高まり十分な相談対応ができない場合、専門的見地に基づく例外として認められます。事業者は、この判断が客観的に業務上必要であることを証明できる状態にしておく必要があります。
物理的リスク軽減策の報告
事前報告時には、一対一となる場所の性質(個室、体育館等)を考慮し、外部からの視認性が確保された場所や防犯カメラ設置の個室、あるいはリモート対応などのリスク軽減策も報告することが望ましいです。
非計画的な緊急対応:周囲の職員の合意と可及的速やかな事後報告
緊急時対応の例外と報告の階層
突発的な事件・事故、災害、またはおむつ替え・排せつ介助・着替え補助・体調不良ケアなどで、当該従事者以外に対応できる者がいない場合は、事前報告の原則の例外とされます。この場合、管理職の了解が直ちに得られない場合は、周囲の職員に状況を説明し合意を得ることが必要です。
「可及的速やかに」の解釈と運用
対応後すぐに管理職へ報告できない場合は、事後、可及的速やかに管理職等に報告する義務が生じます。「可及的速やかに」とは、事態収束後、業務上の安全が確保された直後を意味し、遅延なく報告する必要があります。
体制確保の前提とシフト運用上の制限
この緊急対応は、当該従事者以外に対応できる者が常に不在である状況を前提とするものではありません。事業者は必要な体制を確保し、通常のシフトに長時間の一対一対応を前提として組み込むことは原則として認められません。
管理職の監査責任:報告の適正性検証と児童への確認
管理職による報告内容の随時確認義務
管理職は、提出された事前・事後報告について、形式的確認に留まらず、その蓋然性(起こりうる可能性)を検証することが求められます。
児童・保護者への適正性確認(イレギュラー時の監査)
一対一の対応が連続する場合や報告に違和感を感じる場合、管理職は児童や保護者から、当該従事者の対応が適切であったかを確認することが求められます。これは報告の適正性を担保するための実質的な監査措置です。
「一対一の解釈の拡大」と報告の関連
乳幼児や障害児など、異変を認識・伝達できない児童との接触も「一対一」とみなす必要があります。管理職は報告された状況がこの拡大解釈に該当しないかを確認し、必要に応じて複数名体制の強化を指示する必要があります。
まとめ
いとま特例適用者がやむを得ず児童と一対一になる場合は、児童の安全確保と従事者の人権配慮を両立させるため、事前・事後報告の厳格運用と管理職による実質的監査が不可欠です。計画的な例外、緊急時の対応、そして管理職の監査責任を明確に設計することが、DBS法に基づく安全確保措置の核心となります。
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