早期把握措置における「日常観察」の法的役割
日本版DBS(こども性暴力防止法)に基づき、認定事業者等には「早期把握措置」の実施が義務付けられています。これは以下の3つの柱から構成されます。
- 児童等に対する日常観察
- 発達段階や特性に応じた定期面談・アンケート
- 適切な報告・対応ルールの策定と周知
このうち**「日常観察」**は、意思表示が難しい児童等のわずかな変化を捉えるための最前線の取り組みです。性暴力等が行われるおそれを早期に発見し、被害の拡大を防ぐ目的があります。
内閣府令で求められる「日常観察」の具体的実施内容
義務としての観察行為
対象事業者は、日常的に児童等の心身や行動に変化がないかを観察することが求められます。これは単なる見守りではなく、業務としての観察義務に位置づけられています。
研修による意識の定着
従事者は、研修を通じて児童等の変化の兆候を把握できるよう、具体的な事例やサインを学ぶ必要があります。観察力は訓練によって高められるものであり、事業者による継続的な教育が不可欠です。
「複数名による観察」の推奨と法的背景
複数視点の重要性
ガイドラインでは、日常観察は可能な限り複数名で行うことが推奨されています。これは単なる形式的な推奨ではなく、実質的なリスク回避措置です。
複数の職員が関与することで、児童の行動や態度を多角的に把握でき、見落としを防ぎます。また、従事者個人の主観に偏らない客観的な判断が可能になります。
背景にある法的リスク
性暴力加害者の多くが「児童にとって身近な存在」であるという現実を踏まえ、担任や指導者など一対一の関係に依存する観察体制は極めて危険とされています。そのため、複数名による観察は組織的防止措置の中核と位置づけられます。
組織体制の整備
事業所は以下のような体制を整えることが推奨されます。
- 死角になりやすい場所の巡回強化
- 交代制による観察担当の配置
- 定期的な「見守りミーティング」の実施
「変化・違和感」を捉えた際の初動対応
声掛けと対話の開始
日常観察で児童に変化や違和感を感じた場合、速やかに声掛けや対話を行うことが求められます。これは単なる任意行為ではなく、法的にも「早期把握措置」の一環として位置づけられています。
継続的な関わりの必要性
被害児童は、初期段階で被害を打ち明けられないことが多く、一度の聴き取りで終わらせない関わりが重要です。
定期的な声掛けを通じて信頼関係を構築し、児童が安心して開示できる環境を整えます。
発達段階や特性に応じた「日常観察」の留意点
未就学児への観察
横断指針では、特に未就学児や障害児について、言語的に被害を訴えることが難しいため、日常観察が最も重要な手段であると明記されています。
この層では、身体の動きや情緒の変化、対人関係の反応などを重点的に観察する必要があります。
保護者との連携
未就学児の場合、家庭での様子を把握するために、保護者面談やアンケートを組み合わせることが望ましいとされています。これにより、施設と家庭の両面から異変を早期に察知する体制が整います。
「気づき」を共有する組織文化の形成
情報共有の仕組みづくり
観察による気づきがあっても、個人の中に留まってしまえば意味がありません。
複数の従事者が情報を共有し、話し合える開かれた職場文化が不可欠です。
報告ルールとの連携
共有された気づきは、報告ルールに基づき、速やかに上位者や管理者へ伝達される必要があります。こうした報告の連鎖が、重大事案を未然に防ぐ「早期発見ネットワーク」となります。
まとめ:観察は「組織の責任」としての実践へ
「日常観察」は単なる日常業務ではなく、児童の生命と権利を守るための組織的義務です。
観察の質を高めるには、研修・複数観察・共有文化の三位一体の運用が欠かせません。
施設ごとの特性に合わせた観察マニュアルの作成や、複数名チェック体制の構築をお考えの方は、ぜひご相談ください。行政書士として、法的要件に沿った実効的な体制づくりをサポートいたします。
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