実効性を生む研修設計:日本版DBS制度における必須カリキュラム項目と「座学+演習」の具体的な実施要件
はじめに:研修の法的義務と「理解を深める」ことの重要性
こども性暴力防止法(日本版DBS)では、学校設置者や認定事業者に対し、職員や従事者が児童対象性暴力の防止に必要な理解を深める研修を実施することを義務付けています(法第8条、第20条第1項第5号)。
研修の目的は単なる知識の伝達にとどまらず、「自分ごと」として考える力を養う点にあります。そのため、座学での知識習得に加え、演習による実践的理解の促進が不可欠です。
研修カリキュラムの核:内閣府令で定める8つの必須項目
内閣府令では、研修の内容として以下の8項目を含むことが求められています。これらは、座学において理解すべき基礎事項です。
- 防止に関する基礎的事項
児童対象性暴力が生じる心理的・社会的要因(例:「認知のゆがみ」)や、こどもの権利・意思尊重に関する理解。 - 不適切な行為の範囲
わいせつな言動や盗撮など、性暴力につながる不適切行為の具体例。 - 早期発見の視点
日常観察や面談、アンケート等を通じて異変を察知する方法。 - 相談・報告対応
被害申告を受けた際の初期対応、二次被害防止、記憶の汚染を防ぐ聴き取り技術。 - 保護・支援の在り方
被害児童や保護者に対する真摯な対応、心理的支援、伴走的支援の重要性。 - 犯罪事実確認への理解
確認手続の流れと、従事者が関わる際の留意事項。 - 防止措置の基礎
「おそれがある」と判断された際に求められる措置内容の理解。 - 厳格な情報管理の必要性
性犯罪歴等に関する情報の適切な取扱い、漏えい防止のための体制整備。
これらを網羅することで、従事者一人ひとりが法の趣旨を理解し、現場での行動規範を明確にできます。
実践的理解を促す「演習」の必須要件
研修は座学のみならず、演習による実践的理解が求められます。演習の目的は、実際の現場で「どう動くべきか」を自ら考え、対応力を身につけることです。
演習で満たすべき要素
- ア:不適切な行為の理解深化
具体的な行動例を示し、どのような言動が不適切とみなされるかを整理。 - イ:対応行動のシミュレーション
児童・保護者・同僚から相談を受けた場面を想定し、初期対応の判断と報告の流れを訓練。
推奨される研修方法
- 「認知のゆがみ」体験演習:
加害者が陥りやすい思考パターンを疑似体験し、自己認識を深める。 - ケーススタディ・ワークショップ形式:
実際の事例を題材に小グループで議論し、より具体的な行動指針を導く。
対面形式が望ましいが、オンラインでも実施可能とされています。
研修の実施方法と第三者性の確保
実施方法の選択肢
研修は、以下のいずれかの形態で実施可能です。
- 標準研修:
こども家庭庁作成の標準動画(約1時間)を利用。 - 重点研修:
短期・不定期従事者向けの重点動画(約15分)を利用。 - 独自研修:
上記8項目を満たす座学+演習を独自設計。業界団体や事業者による研修も可。
実施上の留意点
- 研修は定期的に実施し、単発で終わらせないこと。
- 労働時間内に実施するなど、受講機会の確保に配慮。
- 公平性・透明性を担保するため、外部有識者による監修や第三者講師の導入が望ましい。
まとめ:研修を「文化形成のツール」として活かす
日本版DBS制度における研修義務は、単なる法令遵守に留まりません。
研修の積み重ねが、組織全体に「こどもの安全を最優先に考える文化」を根づかせます。
事業者が自らの実情に合わせた研修設計を行い、学びを制度運用やルール改善へと循環させることこそ、実効性を生む最大の鍵です。
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