究極のリスク管理:「児童対象性暴力等が行われたと合理的に判断される場合」の法的要件と4つの認定基準

教室や保育現場で大人が子どもに寄り添う様子を象徴する抽象イメージ(現場運用の温かみを表現) FAQ

調査と「合理的な判断」の役割

認定事業者等に義務付けられる児童対象性暴力等対処規程には、性暴力等の疑いがあると認める場合に、公正かつ中立に事実の有無及び内容を調査し、その結果に基づき防止措置(法第6条)を講じるプロセスを定める必要があります。
ここでいう「合理的に判断される場合」とは、単なる疑いの段階を超え、事実が行われたと評価できる水準を指します。この判断をもって「児童対象性暴力等が行われるおそれがある」と認定し、厳格な防止措置が発動されます。


事実の評価を行うべきタイミングと情報収集の限界

調査活動は、児童対象性暴力等又は不適切な行為の事実の有無を明らかにするために行われます。
評価を行うべきタイミングは、次のいずれかの条件に該当する場合です。

  1. 合理的に判断するために十分な情報が集まった場合
  2. これ以上の情報収集が困難となった場合

事業者は、その時点で入手できた情報を基礎に、法的・社会的に「合理的」と認められるか否かを判断しなければなりません。判断の遅れは、被害拡大や組織責任を問われるリスクを高めます。


「合理的に認められる場合」の4つの具体的要件

内閣府令及びガイドラインの検討段階では、「合理的に認められる場合」とは、次のいずれかの要件を満たす場合を指すとされています。

  1. 対象業務従事者本人から加害事実の自己申告等があった場合
  2. 対象業務従事者の供述内容と、児童や保護者の申告・相談内容が整合的である場合
  3. 児童や保護者の相談・申告内容に整合する客観的証拠や第三者証言が存在し、その内容の信用性が高い場合
  4. 客観的証拠や第三者証言から直接的に事実を認めることができる場合

このように「合理的に判断される」段階とは、確定的な犯罪認定に至らなくとも、社会通念上、行為の存在を認めるに足りる客観的根拠がある状態を意味します。


客観的な証拠収集の重要性と専門家連携の義務

当事者間で主張が食い違う場合、事実の有無を確定するには、客観的な証拠が不可欠です。
以下のような手段が、信頼性の高い証拠収集として挙げられます。

  • 関係者(他の職員・保護者・児童等)への第三者的聴取
  • 監視カメラや送迎車内ドライブレコーダーの映像
  • SNSやメールのやり取り、電子記録などのデジタル証拠

さらに、聴き取りの際には児童の人権と特性に十分配慮することが求められます。誘導的な質問による記憶の歪曲や心理的負担を避けるため、臨床心理士・公認心理師・弁護士など、専門的知見を有する外部専門家との連携が推奨されています。
これにより、調査の中立性と信頼性を確保することができます。


判断結果と講じるべき厳格な防止措置

調査の結果、「児童対象性暴力等が行われたと合理的に判断される場合」には、事業者は**「おそれあり」**と正式に認定します。
この認定に基づき、次のような防止措置(法第6条)が求められます。

  • 対象業務従事者を児童に関わる業務から外す(配置転換・休職・契約停止等)
  • 懲戒事由に該当する場合は、就業規則に基づき懲戒手続きを実施
  • 被害児童への保護及び支援措置(法第7条第2項)の同時実施

これらの措置は、事実の有無を超えて「児童の安全確保」を最優先にする理念に基づいています。
組織が迅速かつ合理的に対応することこそが、再発防止と信頼維持の鍵となります。


まとめ:リスク管理の本質は「迅速な判断と第三者性」

「合理的に判断される場合」の認定は、制度上の義務を果たすだけでなく、児童の生命・人格を守るためのリスク管理そのものです。
組織は、疑念段階で終わらせず、適時に調査を行い、第三者の専門知見を活用して客観的に評価する体制を整えることが求められます。
これが、日本版DBS制度の理念に沿った「安全確保義務の実践」といえます。

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