取消事由としての「定義要件の喪失」
日本版DBS(こども性暴力防止法)における認定制度では、認定を受けた事業者が「民間教育保育等事業者又は事業運営者に該当しなくなったとき」、内閣総理大臣(こども家庭庁)はその認定を取り消すことができます(法第32条第2項第1号)。
これは、法が定める安全確保措置や犯罪事実確認を適切に実施できる**「事業としての最低限の要件」**を満たさなくなった場合に該当します。
取り消しの判断は、違反の重大性・継続性・悪質性などを総合的に考慮して行われますが、特に注意すべきなのが「従事者2名状態の継続」です。
民間教育事業の「3名以上」要件の法的意義
民間教育事業(法第2条第5項第3号)とは、法律上の学校や児童福祉施設等に該当しないものの、教育や技芸の教授を行う事業を指します。
この事業形態では、以下のような**人数要件(要件⑤)**が課されています。
- 当該技芸または知識の教授を行う者の人数が**政令で定める人数以上(3名以上)**であること
- この人数には、雇用形態を問わず、実態として教授に従事している者(派遣・業務委託・ボランティア等を含む)が含まれること
この「3名」という基準は、学校や保育施設と同様、一定の組織的体制があって初めて安全確保措置を適正に運用できるという理念に基づいています。
単なる人数制限ではなく、法的に組織性を担保する最低基準なのです。
「2名状態の継続」と「届出不履行」が取消事由となる理由
具体的な取消事由として挙げられるのが、
「従事者が2名の状態で事業を継続し、廃止届出を行わなかった場合」
です。
この違反の本質は、次の通りです。
- 従事者数が3名未満となった時点で、事業は「民間教育事業の定義要件」を喪失する
- よって、その状態で事業を続けることは、認定要件を欠いたまま運営を継続することになる
- にもかかわらず「廃止の届出」を怠った場合、法第32条第2項第1号に基づき認定取消しの対象となる
つまり、事業の「存続」自体ではなく、要件を満たさない状態を放置したことが、重大な法令違反となるのです。
定義要件喪失時の「廃止届出」の義務と手続
法第31条第1項は、次のように定めています。
認定事業者等は、認定を受けた事業について法第2条第5項第3号イ〜ニまでの要件を満たさなくなる場合には、「認定等事業を廃止する」として、あらかじめその旨および廃止予定日を内閣総理大臣に届け出なければならない。
届出の期限
- 原則:廃止予定日の2週間前までに届出
- 提出先:内閣府(こども家庭庁)
公表上の注意点
届出事由に「要件を満たさなくなる場合」を選択した場合でも、
実際に事業そのものがなくなるわけではない場合があります。
その際は、誤解を防ぐために「※事業そのものの廃止ではない旨」を併記して公表されます。
最低人員を維持するための「組織的情報管理措置」
民間教育保育等事業者には、情報管理措置の一環として、情報管理責任者を含めた2名以上の従事者を置くことが求められています。
これは、機微性の高い情報を扱う際に複数人によるチェック体制を維持するためのものです。
一方で、民間教育事業の場合は教授者が3名以上必要であり、この体制の中で情報管理措置が実効的に機能するよう設計されている必要があります。
したがって、欠員が生じた場合は以下のいずれかの対応が必須です。
- 迅速に代替人員を補充するための社内ルールを策定
- 一時的に要件を満たさない状態になった場合、速やかに廃止届出を提出
これらの対応は、情報管理規程や児童対象性暴力等対処規程において、組織的対応プロセスとして明文化しておくことが重要です。
まとめ:人数要件の軽視が「認定取消し」に直結する
民間教育事業における「3名以上」の従事者要件は、単なる形式的基準ではありません。
事業が法に基づく安全確保措置を履行できるかどうかの判断基準であり、違反は認定取消しの直接要因となります。
特に、講師や従業員の退職によって一時的に2名になった場合でも、届出を怠れば「定義要件の喪失」として扱われ、重大な違反に発展します。
事業者は、人数の変動リスクを前提に、常に法的な状態を維持できる体制設計と届出準備を整えておくことが求められます。
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