開示のメリットと機微情報の取扱いの原則
こども性暴力防止法(日本版DBS)は、事業者(学校設置者等や認定事業者等)に対して、犯罪事実確認の実施状況などを外部に開示する機会を提供しています。情報開示には以下のメリットがあります。
- 保護者が安心して施設や事業者を選択できる
- 求職者が対象業務か否かを事前に判断可能
- 利用者からの内部通報を促す効果
一方で、犯罪事実は極めて機微性の高い個人情報であり、取り扱いには厳格な管理が求められます。具体的には、法第12条に基づく目的外利用・第三者提供の禁止、法第39条に基づく秘密保持義務が適用されます。本記事では、従事者単位での情報開示を控えるべき理由と、事業者が行うべき推奨範囲を整理します。
従事者単位での情報開示を控えるべき理由
法として従事者単位での情報開示を明確に禁止する規定はありません。しかし、以下のリスクから控えることが推奨されています。
誤認のリスク
従事者単位で「確認前/確認済み」を公表すると、周囲の人が情報を誤認する可能性があります。
- 例:ある従事者が「確認済み」と公表された場合、確認を受けていない別の従事者に対して、「特定性犯罪の疑いがあるから確認を受けていないのでは」と誤った推測が生じる恐れがあります。
不利益の発生
カスタマーハラスメントなどの観点から、特定従事者に対する不利益や風評が発生する懸念があります。
留意点
犯罪事実確認済みの個人名を開示する場合は特段の留意が必要です。事業者と保護者・従事者との関係や事業規模により、留意の度合いは大きく変わります。
推奨される情報開示の範囲とタイミング
事業者は、情報開示によるメリットを享受しつつ、上記リスクを回避するために、職種単位または事業者全体単位での開示が推奨されています。
| 開示単位 | 情報の内容 | 推奨される対応 | 推奨される時期 |
|---|---|---|---|
| 職種単位 | 犯罪事実確認の対象職種であるか | 開示を推奨 | 随時(認定事業者は国公表情報と合わせる) |
| 事業者単位 | 全施行時現職者の確認完了 | 開示を推奨 | 全施行時現職者確認完了後 |
| 個別職種単位 | 個別職種の確認状況 | 開示を控える | — |
| 従事者単位 | 犯罪事実確認の実施状況 | 開示を控える | — |
- 特に従事者が少数の職種では、個別職種単位での開示を避け、求めがあれば従事者全体の状況を開示することが適切です。
やむを得ず従事者単位で開示が必要な場合の対応
原則として開示は控えるべきですが、例外的に従事者単位での開示が必要な場合、以下の点に注意してください。
- 同意の取得:従事者本人の同意が必須
- 同意の任意性:強制されてはならない
- 不利益防止:従事者に不利益が生じないよう配慮
- 開示禁止事項:特定性犯罪の有無そのものを含む情報は法第12条で禁止
監督体制との関連:法令遵守と情報開示
認定事業者等では、犯罪事実確認の対象業務概要や、現職者の確認完了情報を国が公表します。事業者による外部開示は、特定性犯罪の有無に関する情報ではないため、法第12条の目的外利用・第三者提供禁止の対象外です。
ただし、特定性犯罪の経歴に関わる情報は法第39条の秘密保持義務の対象であり、違反すると罰則があります。
従って、事業者全体や職種全体単位での開示を行うことで、個別の質問に実質的に対応しつつ、従事者単位の開示を控える指針を遵守できます。
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