障害福祉サービス事業所の安全確保措置|日本版DBS制度と連携のポイント

日本版DBSの書類整備を象徴する抽象イメージ(机上に並ぶ書類・印鑑・ファイル) 日本版DBS

障害福祉分野におけるDBS制度の位置づけ

2025年(令和8年12月25日)に施行予定の「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」(通称:日本版DBS・こども性暴力防止法)は、児童等に教育・保育・支援を提供する事業者を対象としています。

法の適用範囲

  • 義務対象(学校設置者等)
     児童福祉施設(保育所、児童養護施設等)や指定障害児通所支援事業などは、法に基づく措置の実施が義務となります。
  • 認定対象(民間教育保育等事業者)
     学習塾、放課後児童健全育成事業、民間福祉事業者などは、内閣総理大臣の認定を受けることで、同等の安全確保措置を講じる義務が発生します。

障害福祉サービス事業所も主要対象に

法における「児童等」には、障害の有無を問わず教育・支援を受ける者が含まれるため、障害福祉サービス事業所も直接的な対象となります。

これらの事業所は、
**安全確保措置(犯罪事実確認・早期把握・相談・研修・調査・防止措置)**と
**情報管理措置(犯歴情報の適正な管理)**の双方を実施することが求められます。


福祉事業者が実施すべき安全確保措置

犯罪事実確認

障害福祉事業所では、児童と継続的・閉鎖的に接する職員(教員等・教育保育等従事者)に対し、特定性犯罪事実の有無を確認する義務があります。

  • 確認期限:施行時現職者は施行日から3年以内、以後は5年ごとの再確認が必要。
  • いとま特例:やむを得ない事情で確認が遅れる場合も、業務分離等の暫定措置を講じる必要があります。

早期把握・相談体制

  • 早期把握:発達段階や障害特性に応じた観察・面談・アンケートにより、兆候を早期に察知する。
  • 相談体制:事業所内相談員を選任し、相談窓口を設置・周知。外部相談窓口(公的機関等)も併せて周知する。
  • 不適切行為への対応:業務上不要な接触・発言・私的関係など「不適切な行為」の定義を明確化し、早期に指導・対応を実施。

調査・防止措置

疑いが生じた場合は「児童対象性暴力等対処規程」に基づき、事実関係を調査します。

  • 調査は児童の人権に十分配慮し、必要に応じて外部専門家と連携。
  • 調査の結果、「おそれがある」と判断される場合は、当該職員の業務分離・解雇・配置転換など防止措置を講じます。

情報管理体制

障害福祉分野では、機微情報を扱うため、情報管理措置が特に重要です。

  • 情報管理規程の策定・遵守が必須。
  • 人的措置:情報管理責任者を含め、少なくとも2名以上の体制を確保。
  • 報告義務:漏えいや不正利用が発生した場合、こども家庭庁への報告義務があります。

研修と従業員教育の実務

研修の義務と内容

すべての従事者に対し、児童対象性暴力防止のための研修実施が義務付けられています。

  • 形式:座学+演習形式の併用
  • 内容:性暴力の要因(認知のゆがみ)、不適切行為の範囲、相談・報告手順、防止措置の実務
  • 留意点:研修時間は労働時間に含まれるため、労務管理上の配慮が必要です。

福祉事業特有の留意点(個人情報・機微情報)

  • **犯罪事実確認記録等(犯歴情報)**は極めて機微性が高く、目的外利用や第三者提供は禁止。
  • 特定性犯罪関連情報(面談記録・相談内容等)は、情報管理規程に基づき厳格に管理。
  • 廃棄・消去義務:離職後30日以内、または5年の再確認期間経過後に、復元不可能な方法で廃棄・消去する義務があります。

規程整備と許認可との関連性

必須規程と届出

障害福祉サービス事業所では、

  • 「児童対象性暴力等対処規程」
  • 「情報管理規程」
    の策定・届出が必須です。
    内容を実質的に変更する場合は、内閣総理大臣(こども家庭庁)への届出が必要です。

許認可との関係

障害福祉サービス事業所は、指定更新や運営基準の遵守が義務付けられています。
DBS制度で求められる安全確保措置は、児童の安全を守る運営基準そのものに直結するため、許認可維持にも関わる重要事項です。


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