【DBS実務】「廃棄・消去義務」を怠ると罰則対象に?犯罪事実確認記録の期限管理と復元不可能な処理法

日本版DBS制度の概要を象徴する抽象イメージ(法律書と議事堂のイラスト) 制度概要

なぜ犯歴情報を「確実に」消去しなければならないのか

日本版DBS(こども性暴力防止法)において、犯罪事実確認記録等(犯歴の有無を含む情報)は、漏えいした場合に個人の権利利益を重大に侵害するおそれがある「特定性犯罪事実関連情報」として、極めて厳重な取扱いが求められます。
法第38条では、「不必要となったことが明白な場合」には、これらの情報を確実に廃棄・消去する義務が規定され、違反者には罰則(法第46条第1項第3号)が適用されます。

本記事では、事業者が知っておくべき3つの消去期限と、**紙媒体・電子媒体それぞれで求められる「復元不可能な手段」**について詳しく解説します。


廃棄・消去義務が発動する3つの厳格な期限(法第38条)

法第38条に基づき、対象事業者は犯罪事実確認記録等を、次のいずれかの期限までに確実に廃棄・消去しなければなりません。

1. 確認後5年を経過した場合

  • 犯罪事実確認日から5年後の属する年度の末日から30日以内に廃棄・消去を完了。
  • これは、5年ごとの再確認義務(法第4条第4項、第26条第6項)と対応しており、情報の保有を最小限にするための仕組みです。

2. 従事者が離職等をした場合

  • 当該従事者の離職・内定辞退日から30日以内に廃棄・消去を実施。
  • 期限管理は事業者自身が行う必要があり、離職情報をもとにシステム連携・記録削除を速やかに行う体制が求められます。

3. 事業者が対象事業者に該当しなくなった場合

  • 対象事業者から外れた日から30日以内に廃棄・消去を完了。
  • 事業再編や廃止に伴う情報の取り扱いにも同義務が及びます。

紙媒体における「復元不可能な手段」の要件と実務上の工夫

やむを得ず転記・印刷された犯罪事実確認記録等の書類を廃棄する際は、「復元不可能な手段」による処理が必須です。

必須の廃棄方法

  • 焼却、溶解、クロスカット方式のシュレッダー処理など、復元できない手段を採用。
  • 単純な破棄や細断では不十分であり、原形を完全に判別不能にすることが要件です。

推奨される安全対策

  • クロスカットシュレッダーの導入により、縦横両方向から裁断し復元を極めて困難に。
  • 廃棄前に一時保管する場合は、鍵付きの保管箱を使用し、権限のない者が触れられないように管理します。

電子媒体の廃棄・消去における「容易に復元できない形」とは

電子データの廃棄・消去では、単なる削除操作ではなく「復元不可能化」が求められます。

電子データの消去

  • 犯罪事実確認記録等が保存されたファイルを削除する際は、復元ソフトウェアでも再生できない形での消去が必要。
  • 専用のデータ消去ツールを使用し、複数回上書き消去を行うのが望ましいとされています。

機器・媒体の廃棄

  • 記録媒体(HDD、USB、SSDなど)を廃棄する場合は、物理的破壊またはデータ消去ソフト+破壊処理を組み合わせて実施。
  • データ削除のみでは復元リスクが残るため、破壊証明の発行を含めた管理が推奨されます。

特定性犯罪事実関連情報の扱い

法第38条の直接の対象ではなくとも、本人から追加取得した特定性犯罪事実関連情報については、不要になった時点で速やかに廃棄・消去するよう、ガイドラインで求められています。


廃棄・消去手続の管理体制と外部委託の禁止

廃棄・消去義務の実効性を確保するには、組織的な運用体制が不可欠です。

取扱記録の作成・確認

  • 廃棄・消去を実施した際は、実施記録を作成し、責任者が内容を確認・承認します。
  • 記録には、実施日・対象データ・方法・実施者を明記し、後日の監査に備えます。

離職時のシステム報告義務

  • 従事者が離職または内定取消しとなった場合は、こども家庭庁システム上で報告を行わなければ、法第38条の義務を果たしたことにはなりません。
  • システム連携の遅れは、法令違反のリスクに直結します。

外部委託の禁止

  • 犯罪事実確認記録等は第三者提供が禁止されており、廃棄業務を外部業者に委託することもできません
  • 廃棄は必ず事業者内部で実施し、その記録を保管する体制を整える必要があります。

まとめ:廃棄・消去の徹底は「制度信頼の根幹」

廃棄・消去義務の履行は、単なる作業ではなく、日本版DBS制度の信頼を支える根幹です。
紙媒体・電子媒体いずれにおいても、復元不可能な処理方法と厳密な記録管理を徹底することで、制度への信頼を損なわず、児童の安全と関係者の権利保護を両立できます。

事業者における具体的な手順書の整備や、従事者教育の仕組みづくりについては、貴事業所の運営形態に合わせたコンサルティングも承っております。お気軽にご相談ください。

※執筆時点の情報です。最新の内容・詳細については直接お問い合わせください。

行政書士事務所 POLAIRE(ポレール)

お問い合わせ先
TEL:096-288-2679
FAX:096-288-2798
MAIL:polaire@sp-pallet.net
※3営業日以内にご連絡差し上げます。


営業時間(完全予約制)
火・水・金・土:10:00~19:00
月・木:10:00~12:00
※日曜・祝日は休業日です。
※お電話でのご相談は行っておりません。
※ご依頼内容により必要な手続きが異なるため、「金額だけ」をお伝えすることはできません。必ず対面またはオンラインでお話を伺ったうえで、お見積りをご提示いたします。


夜間オンライン相談(完全予約制)
毎週水・金曜日:20:00~21:00(オンライン対応のみ)
※日中にお時間が取れない方のための予約制相談です。
ご予約完了後、オンラインミーティングのURLをお送りします。

タイトルとURLをコピーしました