※この記事はこども家庭庁が公表しているこども性暴力防止法施行ガイドラインを元に作成しています。
あわせてこども性暴力防止法の概要も合わせてご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案については、必ず専門家へご相談のうえご判断ください。
1. はじめに:その「事務員」さん、実は対象かもしれません
「日本版DBS(こども性暴力防止法)は、教員や保育士だけがやればいいんでしょう?」
もし、そう思われているとしたら、その認識は少し危険かもしれません。 法律やガイドラインでは、「事務職員」や「運転手」といった職種名だけで対象・非対象が決まるわけではないからです。
本記事では、判断に迷いやすい「事務員」「バス運転手」「調理員」「校医」などの周辺職種について、どこからが対象になるのか、その「境界線」を具体例で解説します。
2. 判断の「分かれ目」となるポイント
周辺職種において、対象になるかどうかの最大の分かれ目は、3要件のうちの**「閉鎖性(第三者の目がない状況)」**です。
3. 【職種別】○と×の境界線ケーススタディ
それでは、具体的な業務シーンで判定していきましょう。 あなたの施設のスタッフは、どちらの働き方に近いでしょうか? ※ここで示しているのはあくまでも一例です。 各施設の実態に応じて、対象になるかならないかの判断が必要です。
Case 1: 事務職員・受付
🔴 対象になる(要確認)
【状況】
普段は事務作業だが、保護者面談中などに別室で子どもを預かり、1人で面倒を見ることがある。
【理由】
一時的であっても、密室で子どもと1対1になる状況(閉鎖性)が生じるため。
🔵 対象外(セーフ)
【状況】
職員室やオープンな受付カウンターの中に常駐し、電話対応や書類整理のみを行っている。
【理由】
子どもとの接触が限定的であり、かつ常に他の職員の目(衆人環視)があるため。
Case 2: スクールバス・送迎バスの運転手
🔴 対象になる(要確認)
【状況】
添乗員がおらず、運転手1人で運行している。
【理由】
最後の1人を降ろす際などに、車内で子どもと1対1になる状況(閉鎖性)が避けられないため。
🔵 対象外(セーフ)
【状況】
常に他の職員(保育士等)が同乗している。
【理由】
常に第三者の目があり、物理的に「閉鎖性」が解消されているため。
Case 3: 調理員・清掃員
🔴 対象になる(要確認)
【状況】
食育指導や配膳、清掃活動などで、他の職員がいない環境で子どもと会話・接触する。
【理由】
業務の一環として子どもと関わり、閉鎖環境が生じうるため。
🔵 対象外(セーフ)
【状況】
調理室のみで業務が完結する、または子どもがいない時間帯・エリアで清掃を行う。
【理由】
そもそも子どもとの接触(支配性・継続性)がない、または閉鎖性がないため。
Case 4: 医師・嘱託医(校医)
🔴 対象になる(要確認)
【状況】
施設内の保健室や診察室で、継続的に個別診察や健康相談を行う。
【理由】
「診察室」という閉鎖環境で、継続的に子どもと接するため。
🔵 対象外(セーフ)
【状況】
年1回の定期健康診断のみで来校し、かつ教職員が立ち会う。
【理由】
「継続性」がなく、かつ立会いにより「閉鎖性」もないため。
4. 運用上のヒント:「閉鎖性」を消せば対象外にできる
全ての周辺スタッフをDBS(犯歴確認)の対象にすると、事務負担や費用が膨大になります。 そこで事業者が検討すべきは、「業務フローの見直し」による対象者の絞り込みです。
• メリット: これにより「閉鎖性」要件が外れ、法的な確認義務の対象外(=事務負担減)となるだけでなく、**物理的に性被害が起きない環境(未然防止)**を作ることができます。
5. まとめ
- 「事務員だから対象外」という決めつけはNGです。
- 「1人で子どもと接する時間があるか?」を基準に、各職員の業務を棚卸ししてください。
- 迷う場合は、「閉鎖性」をなくす工夫ができないか検討しましょう。
- Q短期のアルバイトやボランティアも対象になりますか?
- A
はい、期間にかかわらず「3要件」を満たす業務であれば対象となります。ただし、ボランティア等は通常、担任の監督下で活動することが多いため、「閉鎖性」がないとして対象外になるケースも考えられます。
- Q事務員がトイレに連れて行くことがあります。これは対象ですか?
- A
トイレ介助は「閉鎖性」が高い業務の代表例です。これを日常的・反復的に行うのであれば、その事務員は対象となる可能性が高いです。
- Q対象外の職員には何も確認しなくていいのですか?
- A
法的な「犯罪事実確認(DBS)」の義務はありませんが、施設独自の判断で確認を求めること(同意ベース)や、面接での確認を徹底することは、安全管理上推奨されます。

