外国籍者の確認における複雑性
こども性暴力防止法(日本版DBS)に基づく犯罪事実確認は、日本国籍者だけでなく、対象業務に従事する全ての外国籍者にも義務付けられています。
日本国籍者の場合は戸籍情報を用いて氏名・生年月日・本籍などの本人特定情報を確認しますが、外国籍者には戸籍制度がないため、提出書類や手続きフローが大きく異なります。
特に、外国籍者の確認には日本国籍者の標準処理期間(約2週間から1か月)より長い、1か月から2か月の期間を見込む必要があります。これは、情報の確認プロセスが複雑で、関係機関間の照会や調整に時間がかかるためです。
本記事では、外国籍者が提出すべき書類、特に「戸籍相当書類」の必要性、そして事業者が知っておくべき手続き上の実務について解説します。
外国籍者が提出する本人特定情報と添付書類の基本
犯罪事実確認手続きにおいて、外国籍従事者は本人特定情報を把握するために必要な書類をこども家庭庁に提出する必要があります(法第33条第5項)。
本人特定情報の証明に必須となる書類
外国籍者が提出する書類には、主に以下が含まれます。
- 在留カード、住民票、旅券など
- 氏名、国籍、性別、生年月日に変更があった場合、当該国で発行された変更履歴を示す「戸籍相当書類」
- 来日履歴、氏名のカナ読み、重国籍の有無等に関する情報
これらの書類は原則として本人が直接こども家庭庁に提出します。ただし、本人の希望があれば事業者経由での提出も可能です。
「戸籍相当書類」の役割:過去の変更履歴の追跡
日本国籍者は戸籍・除籍の抄本などにより、過去の氏名、本籍、出生年月日などの変更履歴を確認できます。
外国籍者の場合、過去に氏名・国籍・性別・生年月日が変更されている場合、正確な犯罪事実照会のために変更内容を証明する「戸籍相当書類」の提出が求められます。
なお、過去に日本国籍を有していた場合は、外国籍者であっても日本国籍者と同様に戸籍等の提出が必要です。
外国籍者の申請フローと期間に関する留意事項
標準処理期間が長い理由
外国籍者の犯罪事実確認の標準処理期間は1か月から2か月と長く設定されています。
これは、本人特定情報の登録から、出入国在留管理庁への照会、法務省(検察庁)への犯罪事実照会まで、複数の関係機関を経由するためです。
採用・従事開始のスケジュールは、日本国籍者に比べて長期的な計画を立てる必要があります。
再確認時の書類提出の省略について
犯罪事実確認は5年ごとに再確認が必要です。
- 外国籍者は直近申請から3か月以上経過している場合、在留カードの最新版提出は省略できません。
- 氏名、国籍、性別、生年月日の「4情報」に変更があった場合、変更後の書類提出が必要です。変更がなければ、変更なしの証明や誓約書の提出で対応可能です。
事業者が負うべき責務とリスク管理
外国籍従事者を採用する場合、事業者は在留資格やパスポートの確認に加え、犯罪事実確認に必要な「戸籍相当書類」の取得を申請従事者に依頼するプロセスを、通常の採用期間より早めに開始する必要があります。
申請従事者が必要書類を提出できない場合や、法定期限までに犯罪事実確認が完了しない場合、事業者は犯罪事実確認義務違反のリスクを負うことになります。この場合、対象業務への従事を制限するか、業務命令違反として懲戒処分の検討も必要です。
採用段階で、手続きの流れや未確認時の対応についてあらかじめ対象者に説明し、理解を得ることは、後の紛争防止の観点からも重要です。
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