児童が性暴力や虐待に関する相談をする際、「誰にも言わないでほしい」と訴えることがあります。従事者としては、児童の訴えを尊重しつつも、命と安全を守るためには情報共有が必要です。本記事では、秘密を希望する児童への対応における原則と具体的配慮を整理します。
「誰にも言わないで」という要求が生まれる背景とリスク
秘密にしたい理由の理解
- 児童が秘密を希望する背景には、親に怒られる、加害者からの口止め、報復への恐れなど、さまざまな不安がある可能性があります。
- 虐待や重大な被害が潜んでいる場合もあり、表面的な理由だけで対応してはいけません。
できない約束をするリスク
- 「誰にも言わない」「先生だけの秘密にしておく」といった約束は、児童を安心させたい意図から発せられることがあります。
- しかし、これらは守れない場合があり、結果的に信頼を損ね、児童の安全を危うくするリスクがあります。
情報共有を進める重要性
- 児童の命と安全に関わる場合や法に触れる可能性がある事案は、秘密にしておくことができません。
- 必要な情報共有は、被害を防ぐ観点から、児童の意思に反してでも行うことが求められます。
相談を受けた際の初動対応と信頼関係の構築
安心感を与える初期メッセージ
- まず、話してくれたことへの感謝とねぎらいを伝えます。
- 「あなたは全然悪くない」「あなたに落ち度も責任もない」と必ず伝え、安心感を与えます。
- 「あなたの安全が何よりも大事だよ」と安全確保が最優先であることを明示します。
「なぜ秘密にしたいのか」の聴き取り
- 「誰にも言わないでほしい理由は何かな? どんなことが不安だったり、怖かったりする?」などと、児童の不安の背景を丁寧に聴き取ります。
情報共有に向けた説得と協働
- 安全確保は従事者一人では難しいため、「一緒に児童を守ってくれる人と相談したい」という意図を説明します。
- 「あなたの命と安全に関わることだから、秘密にしておけない」と説得します。
- 不安の解消方法を児童と具体的に考え、協働する姿勢が重要です。
情報共有を進める際の具体的配慮事項
共有範囲の明確化
- 誰に、どのような理由で情報を伝えるかを事前に児童と共有することで、心理的負担を軽減します。
- 児童の気持ちに寄り添いながらも、必要な情報共有の説得を行うことが求められます。
キーパーソンの存在の明示
- 相談している従事者の名前や役割を伝え、児童が不安になった場合に相談できるキーパーソンの存在を示します。
警察等との連携タイミング
- 外部機関との連携は、伝えるタイミングに配慮することが重要です。
- 早すぎる通知は児童が「自分が悪い」と感じ、話さなくなる場合があるため、慎重にタイミングを見極めます。
「話してくれてありがとう」を最後に伝える
- 最後に、児童の勇気をねぎらう意味で「話してくれてありがとう」と感謝を伝えます。
まとめ
- 児童が「秘密にして」と訴える背景には、多様な不安が存在します。
- 従事者は、できない約束を避けつつ、児童の命と安全を最優先に情報共有を進める必要があります。
- 聴き取り、説得、協働、共有範囲の明確化、キーパーソンの提示、外部連携のタイミングなど、細やかな配慮を行うことで、児童の安心感を維持しつつ安全確保を実現します。
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