法第13条が定める「直ち」の報告義務
日本版DBS(こども性暴力防止法)では、児童に関する性犯罪の経歴確認情報を扱うすべての事業者に対し、極めて厳格な情報管理が求められます。
犯罪事実確認実施者および認定事業者等(以下「対象事業者等」)は、犯罪事実確認書に記載された情報が漏えい・滅失・毀損した場合、またはそのおそれがある場合には、直ちに内閣総理大臣(こども家庭庁)へ報告しなければなりません(法第13条、法第27条第2項)。
この義務を怠ると、認定取消し(法第32条第2項)につながる重大な法令違反となります。
内閣府令が定める「報告を要する重大事態」とは
報告義務が発生する「重大事態」とは、単なる情報漏えいだけではなく、個人の権利利益を著しく害するおそれのあるケースが対象となります。内閣府令では、次の3類型が「報告を要する重大事態」として明示されています。
- 犯罪事実確認記録等(CFCR等)の漏えい、滅失、毀損、またはそのおそれがある事態(暗号化済みのものを除く)
- CFCR等が法第12条に違反して第三者に提供された、または提供されたおそれがある事態(目的外利用・第三者提供の禁止違反)
- 特定性犯罪事実関連情報の漏えいまたはそのおそれがある事態
特定性犯罪事実関連情報とは
これは、防止措置の実施過程で犯罪事実確認書を端緒として得られた、より詳細な前科内容・背景事情・反省の程度などの情報を指します。
法上はCFCR等に含まれないものの、極めて機微性が高いため、内閣府令で「重大事態」として扱われることが定められています。
二段階報告制度:「速報」(3~5日以内)と「確報」(30日以内)
対象事業者等が重大事態を把握した場合、二段階の報告が義務づけられています。
1. 速報(第一次報告)
- 期限:事態を知った日から「直ちに」報告(ガイドライン上、3~5日以内)
- 内容:現時点で判明している範囲の事実を速やかに報告
- 特に迅速な報告が求められる事案:
- 特定性犯罪事実を含む情報漏えい(口頭情報を含む)
- 100件以上のCFCR等の漏えい
速報は「不完全でも迅速に」が原則であり、早期の初動対応が被害拡大の防止につながります。
2. 確報(最終報告)
- 期限:事態を知った日から30日以内(不正アクセス等の特殊事案では60日以内)
- 方法:指定のオンラインフォームにより提出
- 目的:原因究明と再発防止策を含む包括的報告
確報で求められる9つの必須報告事項
確報では、内閣府令に基づき以下の9項目を漏れなく報告する必要があります。
- 概要(発生日・発覚日・経過・関係事業者等)
- 漏えいしたCFCR等または特定性犯罪事実関連情報の項目
- 影響を受けた本人の人数
- 発生原因
- 二次被害またはそのおそれの有無と内容
- 本人への対応状況
- 公表の実施状況
- 再発防止措置
- その他参考となる事項
個人情報保護法との関係
CFCR等は「要配慮個人情報」を含むため、同時に個人情報保護委員会への報告義務も発生します。
日本版DBS制度上の報告フォーマットは、個人情報保護法上の報告内容と整合性を保つ設計になっており、重複負担を軽減する構造となっています。
報告義務違反のリスクと是正命令
報告義務を怠ると、以下の行政処分・業務影響が生じます。
- 内閣総理大臣による是正命令の発出
- 是正措置が完了するまでの間、新たな犯罪事実確認書の交付保留(法第35条第3項)
- 重大な違反の場合、認定取消しの対象(法第32条第2項)
さらに、こども家庭庁は再発防止に資する事例について、匿名化したうえで事案を公表することがあります。これは制度全体の透明性向上と、事業者間の学びの共有を目的としています。
まとめ:漏えい発生時の初動がすべてを決める
児童関連の犯歴情報は、行政法務の中でも最も機微性の高い個人情報です。
漏えい時の初動報告が遅れれば、事業者の信頼失墜はもちろん、制度全体の信頼にも影響を与えかねません。
速報・確報の体制整備、情報管理規程への明文化、そして職員研修による再発防止が、今後の事業継続に直結します。
情報漏えい時の対応フローや報告様式の整備について、専門的な支援が必要な場合は、行政書士事務所POLAIRE(ポレール)までご相談ください。
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