防止措置を義務化する「重大な不適切な行為」の判断基準

日本版DBSの書類整備を象徴する抽象イメージ(机上に並ぶ書類・印鑑・ファイル) 日本版DBS

「不適切な行為」と「重大な不適切な行為」の決定的な違い

「不適切な行為」とは、それ自体は児童対象性暴力等には該当しないものの、業務上必ずしも必要ではなく、継続・発展することで性暴力等に発展するおそれのある行為を指します。
一方で「重大な不適切な行為」とは、**性暴力等への防止措置に準じた厳格な対応(原則として対象業務に従事させない措置)**が求められる行為を意味します。

事業者はこの「重大な不適切な行為」を判断するための明確な基準を、児童対象性暴力等対処規程等に定めておく必要があります。ここでは、その判断の根拠となる3つの観点を整理します。


行為の「悪質性」を高める判断要素

「重大な不適切な行為」と認定されるかどうかは、本人の加害認識、児童等に与えた被害の重大性、そして行為の悪質性などを総合的に判断します。
内閣府ガイドラインでは、具体的な不適切行為に以下のような「悪質性が高まる要素」が加わった場合を、重大な不適切行為として例示しています。

執拗性の有無

「執拗に」児童等にマッサージをする行為などは、状況によっては児童対象性暴力等に該当し得るものであり、重大な不適切行為と判断される可能性があります。
単発的な行為であっても、相手方が嫌悪感を示しているにもかかわらず継続した場合は、明確な悪質性が認められます。

意に反することの認識

「児童等や保護者の意に反することを認識しながら」長時間抱きしめる行為や、保護者の了解を得ずに自宅等で二人きりになる行為も、悪質性が高いとされます。
これは、従事者が相手の意思を無視して優越的立場を利用しようとした意図が推認されるためであり、単なる指導上の逸脱とは区別されます。


軽微な不適切行為が「重大」へと発展する「累積的悪質性」

初期段階では軽微と判断された行為であっても、その後の従事者の態度や対応によって、重大な行為に準じて扱われることがあります。
これは「累積的悪質性」と呼ばれ、再発防止の指導を軽視した場合に特に問題となります。

段階的対応の原則

初回で比較的軽微な行為の場合は、注意指導や研修受講命令を行い、経過観察を行うなどの段階的対応が認められます。
ただし、これらの措置に従わず、同様の行為を繰り返したり、再発防止研修を拒否したりする場合には、業務命令違反としてより厳しい対応が求められます。

指導拒否・再犯時の扱い

再発防止措置を無視した場合には、児童対象性暴力等が行われた場合(防止措置③)に準じた対応を取ることが合理的とされます。
このため、軽微な行為であっても「従事者の姿勢」によって重大化するリスクがある点に留意が必要です。


「重大な不適切行為」に適用される防止措置の厳格性

重大な不適切行為と合理的に判断された場合、事業者には児童対象性暴力等が発生した場合と同等の防止措置が求められます。

原則:対象業務への従事禁止

重大な不適切行為が認められた場合、当該従事者を対象業務に従事させないことが原則です。
懲戒事由に該当する場合は就業規則に基づき懲戒処分を行い、防止措置として不十分な場合には配置転換などの追加措置を講じる必要があります。

就業規則への明文化義務

不適切行為が「初回かつ軽微なもの」でない場合に厳格な対応を可能にするためには、就業規則等であらかじめ明文化しておくことが不可欠です。
特に以下のような行為を懲戒事由として明示することが重要です。

  • 児童対象性暴力等につながる不適切行為を行った場合
  • 業務命令に従わなかった場合
  • 組織秩序を乱した場合

これにより、従業員の権利保護と児童の安全確保の両立が可能になります。


まとめ:事業実態に即した「定義と措置」を整備する

「重大な不適切行為」の判断には、従事者の権利保護と児童等の安全確保という二律背反のバランスが求められます。
そのため、各事業者は自社の業務実態に応じて、不適切行為の範囲や判断基準を明文化し、就業規則・懲戒規定を整備しておくことが必要です。

法的な整備・運用については、専門家による助言を得ることで、組織のリスクを最小限に抑えつつ適正な対応を実現できます。

※執筆時点の情報です。最新の内容・詳細については直接お問い合わせください。

行政書士事務所 POLAIRE(ポレール)

お問い合わせ先
TEL:096-288-2679
FAX:096-288-2798
MAIL:polaire@sp-pallet.net
※3営業日以内にご連絡差し上げます。


営業時間(完全予約制)
火・水・金・土:10:00~19:00
月・木:10:00~12:00
※日曜・祝日は休業日です。
※お電話でのご相談は行っておりません。
※ご依頼内容により必要な手続きが異なるため、「金額だけ」をお伝えすることはできません。必ず対面またはオンラインでお話を伺ったうえで、お見積りをご提示いたします。


夜間オンライン相談(完全予約制)
毎週水・金曜日:20:00~21:00(オンライン対応のみ)
※日中にお時間が取れない方のための予約制相談です。
ご予約完了後、オンラインミーティングのURLをお送りします。

タイトルとURLをコピーしました